トランプ米大統領が、韓国製洗濯機についてセーフガード(緊急輸入制限措置)を発動する可能性が高まっている。トランプ大統領は17日(現地時間)ロイター通信とのインタビューで、「韓国は一時良い雇用を生み出していた我々の産業を破壊し、洗濯機を米国にダンピングしている」と述べた。
来月2日のセーフガードの最終決定期限を控えて、大義名分作りに乗り出したという解釈が出ている。低価格攻勢を意味するダンピングは、輸入急増を防ぐセーフガードとは異なる概念であり、トランプ大統領は用語を勘違いしたとみられる。国内電子業界も、トランプ大統領のこの日の発言は、事実上の「発動予告」と見て最悪の状況に備えている。
昨年11月、米国際貿易委員会(ITC)は、米最大手家電メーカー、ワールプールの請願を受け入れて、三星(三星)電子とLG電子の大型家庭用洗濯機うち、年間120万台を超える輸入台数については50%の関税(初年度基準)を追加で課すなどの勧告案をトランプ大統領に報告した。
ITCはこれに先立って、昨年9月も米太陽光パネルメーカー「スニバ」とソーラーワールドの請願を受け、ハンファケミカルなどの韓国企業の太陽光パネルについてのセーフガードを勧告した。太陽光パネルについてのトランプ大統領の決定の締め切りは今月26日である。ワシントンの外交消息筋は、「トランプ大統領は30日の上下院合同演説(一般教書演説)で、議会と国民を相手に保護貿易の成果をPRするために、セーフガードをその前に実施する可能性がある」と予想した。
国内電子業界では、洗濯機のセーフガードが最終的に発動されれば、そのとばっちりが冷蔵庫などの他の製品群にも飛びかねないという懸念が出ている。LG電子の宋大鉉(ソン・デヒョン)H&A事業本部長(社長)は、昨年11月の記者懇談会で「(米政府の)方向が決まれば、次は掃除機になるか、冷蔵庫になるか予断が難しいが、すべての可能性を開いて準備している」と話した。
実際ワールプールは2011年4月、三星電子とLG電子を狙って、「フレンチドア冷蔵庫を原価以下で売っている」と反ダンピング関税を課すよう要求されたことがある。その翌年4月、ITCは「米関連産業の具体的な被害や脅威がない」とこれを棄却した。電子業界の関係者は、「それ以来、三星とLGの北米市場での冷蔵庫シェアが洗濯機並みに上がって、2015年から米企業を抜くなど、状況が変わった」とし、「特にオバマ前政府とトランプ現政府の貿易保護主義の基調があまりにも異なっているので、下手に予測することはできない」と警戒した。
ただテレビとスマートフォンは、生活家電製品と違ってセーフガードの議論から外れている。テレビは、北米市場で活動しているメジャー企業のうち、ワールプールのように本土に生産拠点を置くメーカー自体がない。スマートフォンも同様にアップルが依然グローバル市場で高いシェアを守っており、韓国企業によって被害を被ったと主張するのは難しい状況である。
三星電子とLG電子は同日、トランプ大統領の発言について公式立場を出さずに言葉を惜しんだが、2週間後に迫った決定期限を控えて、シナリオ別の対応策を用意している。三星電子は12日(現地時間)から米サウスカロライナ州に建設した新規家電工場の稼動を開始した。この工場は、年間100万台の洗濯機を生産できる。LG電子も来年2月に予定されていた新工場の稼動時期を今年第4四半期(10~12月)に繰り上げることにした。
両社が一年に米国に輸出する洗濯機は、合わせて250万台である。電子業界の関係者は、「セーフガードが発動されれば、関税が適用されない120万台を先取りするための二社間のシェア競争もさらに激しくなるだろう」と予想した。