「(海外駐在の)北朝鮮大使が変わった。」
欧州に駐在する北朝鮮大使は昨年、北朝鮮の相次ぐ核実験とミサイル挑発で欧州連合(EU)の強力な対北制裁が続き、北朝鮮とEU間の葛藤が高まると、ほぼすべての対外活動を停止した。しかし、今年に入って外部の行事に積極的に参加し、特に韓国大使と写真を撮って話をするなど態度が急変した。特に、平昌(ピョンチャン)冬季五輪(2月9~25日)と米朝対話の局面でこのような現象は際立っている。
鄭範九(チョン・ボムク)駐ドイツ韓国大使は先月31日、ドイツ・ベルリン左派党の党本部で開かれたハンス・モドロウ元東ドイツ首相の90歳の誕生日パーティで、パク・ナムヨン北朝鮮大使に会った。朴氏が姿を現しただけでも多くの外交官たちが驚き、朴氏が鄭氏と写真まで撮ると、その場にいた中国大使まで「初めて見る光景」と驚いたという。
フランス・パリに本部があるユネスコの李炳鉉(イ・ビョンヒョン)韓国代表部大使は、パレスチナ文化行事など最近3度も北朝鮮大使と会い、話を交わした。崔盛周(チェ・ソンジュ)駐ポーランド大使と辛東益(シン・ドンイク)駐オーストリア大使も今年、駐在国の外交部主催のレセプションや新年祝賀会で北朝鮮大使に会った。北朝鮮大使は以前より明るい表情で積極的に挨拶したという。
匿名のある韓国大使は、「北朝鮮大使が韓国の国内政治の情報まで詳しく知っていて驚いた」とし、「南北の強い信頼を示し、米国と中国には残念な思いを表現したりもした」と伝えた。別の大使は、「今年、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の新年の辞の後、北朝鮮が国際社会から『正常国家』と認められるよう積極的な外交活動に乗り出すことに外交政策の方向を変えたようだ」と診断した。そして、「欧州は強力な対北制裁もするが、『北朝鮮と対話が重要』という立場を堅持し、北朝鮮が(欧州で)活動する空間はかなり広い」と付け加えた。
ある北朝鮮大使は韓国大使に、「私たちは韓国と戦う考えは全くない。米朝対話をすれば、北朝鮮が米国から得るものが多いと考えるが、米国の方が得るものがより多いかもしれない」と話したという。
申富南(シン・ブナム)駐ブルガリア韓国大使は14日、韓国大使官邸で開かれたアジア国家の大使の昼食会にチャ・ゴンイル北朝鮮大使が参加したことについて、「1990年にブルガリアに大使館が開設されて以来、北朝鮮大使が韓国大使館に来たのは初めて」と話した。チャ氏は芳名録に、「私たちは一つの民族です。北と南が力を合わせて南北関係と祖国統一の新たな歴史を築くことを願います」と書いた。シン氏と並んで座ったチャ氏は、「並んで座るとブルガリア大統領や他のアジア大使の目にもいいだろう」と話したという。申氏は、「大使に赴任して2年間、チャ氏は昨年初めにアジア招請レセプションの時に一度会ったのが事実上、最後だった」とし、「北朝鮮大使の肯定的な変化を機に、今後会う機会を積極的に作る」と話した。
董正民 ditto@donga.com