私たちは金正恩についてよく知っているのか
Posted March. 16, 2018 08:01,
Updated March. 16, 2018 08:01
私たちは金正恩についてよく知っているのか.
March. 16, 2018 08:01.
by 黃仁贊 hic@donga.com.
北朝鮮の新学年は来月2日から始まる。4年前の今頃は、各クラスに真新しい教科書が支給された。カリキュラムを12年制に変えた金正恩(キム・ジョンウン)の決定のためだったが、金日成(キム・イルソン)、金正日(キム・ジョンイル)の偶像化教育に金正恩を追加するためだった。中学用の「敬愛する金正恩元帥の革命活動の教授参考書」にはこのような部分がある。「敬愛する元帥は、3歳になられた時からすでに車を運転され、8歳になる前に大型貨物車がたくさん通い、急カーブと傾斜地の多い約30里の区間の舗装もされていない道路を、乗用車を運転しながら目的地まで無事にいかれたこともあった」このような内容に、北朝鮮の児童生徒たちは涙をポロポロ流しながら感服ばかりしたのではなかった。とある脱北者の学生は、「新しいリーダーの登場にたくさん期待したが、教育内容は誰が見ても嘘が多かった」と打ち明けた。他の学生は、「金正恩の誕生年度や出生地、母親が誰かについて知りたかったが、金正日の息子という話ししかなかった」と語った。とある教師出身の脱北者は、「他の先生が(金正恩の)誕生年度や出生地を知りたがると、党の関係者から呼ばれて『なぜ知ろうとするのか』と問い詰められた」という。学生たちも金正恩について知りたいことは多かったが、知るすべがなかった。私たちも状況があまり変わらない。情報機関すら金正恩について知らないことがあまりにも多い。とある政府高位関係者は、「ヒューミント(人的チャネル)がかつてほどではないので、実際に金正恩の行跡についてよく知らない」と打ち明けた。さらに、正確な年齢すら知らない。1984年生まれと推定しているが、1989年生まれ、1981年生まれの説もある。北朝鮮の教科書では、金正恩が1989年に行った自動車疾走を言及しながら、「8歳になられる前」と記した。このような金正恩が、最近、ちょっと水面上に出た。5日、韓国の対北特使団に会った。朝鮮中央テレビは面談や晩餐の様子を10分50秒間伝えた。笑みで特使団を迎え、一つ一つ握手し、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の親書を両手で受け取る金正恩は、表面上は「しっかり」しているかに見えた。しかし、そこまでだった。政府関係者が金正恩に会ったが、私たちに伝わる内容は限定的だった。彼は本当に韓国を赤化統一の対象ではなく、パートナーとして考えているのか、過去の挑発について少しでも申し訳ない気持ちがあるかは知られていない。その代わり、大統領府の関係者たちを通じて、「金正恩はかなりの物知りだ」「礼儀正しい姿だった」という評価が伝えられた。自分を「自ら蔑みながら」冗談も言ったという。さらに、ドナルド・トランプ米大統領には米朝首脳会談を提案し、トランプがこれを受け入れたことで、それこそ「気前のいい指導者」と評価される雰囲気だ。もちろん、北朝鮮の核という最優先課題を解決するための出会いを控えた状況で、相手を煽てることは理解できる。「ガラスのボウルを扱うようにしなければならない」という文大統領の言葉も、そのために出てきたものである。それなら、金正恩に対する政府の評価も、今よりはるかに自制するのがよかったのだろう。具体的な事実に基づいていない印象批評、それも好評一色の政府評価は、南北、米朝間の連続首脳会談を控えた時期に国民に誤った認識を植えかねない。代表的なのが、「(これからはミサイル挑発をしないから)文大統領は夜明けに眠りから覚まされることはないだろう」という金正恩の言葉をそのまま伝えたことだ。金正恩の言葉を信じて、対北朝鮮警戒態勢の瓦解につながるのではないか心配である。何よりも、私たちは金正恩にわずか一度会っただけだ。まだ彼をよく知っているとはいいがたい。これから彼に関する正確な情報に基づいて、冷徹な評価がたまっていってこそ、最終的には非核化妥結の可能性も高まるだろう。金正恩への賞賛は、その後にしても遅くはない。
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北朝鮮の新学年は来月2日から始まる。4年前の今頃は、各クラスに真新しい教科書が支給された。カリキュラムを12年制に変えた金正恩(キム・ジョンウン)の決定のためだったが、金日成(キム・イルソン)、金正日(キム・ジョンイル)の偶像化教育に金正恩を追加するためだった。中学用の「敬愛する金正恩元帥の革命活動の教授参考書」にはこのような部分がある。
「敬愛する元帥は、3歳になられた時からすでに車を運転され、8歳になる前に大型貨物車がたくさん通い、急カーブと傾斜地の多い約30里の区間の舗装もされていない道路を、乗用車を運転しながら目的地まで無事にいかれたこともあった」
このような内容に、北朝鮮の児童生徒たちは涙をポロポロ流しながら感服ばかりしたのではなかった。
とある脱北者の学生は、「新しいリーダーの登場にたくさん期待したが、教育内容は誰が見ても嘘が多かった」と打ち明けた。他の学生は、「金正恩の誕生年度や出生地、母親が誰かについて知りたかったが、金正日の息子という話ししかなかった」と語った。とある教師出身の脱北者は、「他の先生が(金正恩の)誕生年度や出生地を知りたがると、党の関係者から呼ばれて『なぜ知ろうとするのか』と問い詰められた」という。学生たちも金正恩について知りたいことは多かったが、知るすべがなかった。
私たちも状況があまり変わらない。情報機関すら金正恩について知らないことがあまりにも多い。とある政府高位関係者は、「ヒューミント(人的チャネル)がかつてほどではないので、実際に金正恩の行跡についてよく知らない」と打ち明けた。さらに、正確な年齢すら知らない。1984年生まれと推定しているが、1989年生まれ、1981年生まれの説もある。北朝鮮の教科書では、金正恩が1989年に行った自動車疾走を言及しながら、「8歳になられる前」と記した。
このような金正恩が、最近、ちょっと水面上に出た。5日、韓国の対北特使団に会った。朝鮮中央テレビは面談や晩餐の様子を10分50秒間伝えた。笑みで特使団を迎え、一つ一つ握手し、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の親書を両手で受け取る金正恩は、表面上は「しっかり」しているかに見えた。
しかし、そこまでだった。政府関係者が金正恩に会ったが、私たちに伝わる内容は限定的だった。彼は本当に韓国を赤化統一の対象ではなく、パートナーとして考えているのか、過去の挑発について少しでも申し訳ない気持ちがあるかは知られていない。
その代わり、大統領府の関係者たちを通じて、「金正恩はかなりの物知りだ」「礼儀正しい姿だった」という評価が伝えられた。自分を「自ら蔑みながら」冗談も言ったという。さらに、ドナルド・トランプ米大統領には米朝首脳会談を提案し、トランプがこれを受け入れたことで、それこそ「気前のいい指導者」と評価される雰囲気だ。
もちろん、北朝鮮の核という最優先課題を解決するための出会いを控えた状況で、相手を煽てることは理解できる。「ガラスのボウルを扱うようにしなければならない」という文大統領の言葉も、そのために出てきたものである。
それなら、金正恩に対する政府の評価も、今よりはるかに自制するのがよかったのだろう。具体的な事実に基づいていない印象批評、それも好評一色の政府評価は、南北、米朝間の連続首脳会談を控えた時期に国民に誤った認識を植えかねない。代表的なのが、「(これからはミサイル挑発をしないから)文大統領は夜明けに眠りから覚まされることはないだろう」という金正恩の言葉をそのまま伝えたことだ。金正恩の言葉を信じて、対北朝鮮警戒態勢の瓦解につながるのではないか心配である。
何よりも、私たちは金正恩にわずか一度会っただけだ。まだ彼をよく知っているとはいいがたい。これから彼に関する正確な情報に基づいて、冷徹な評価がたまっていってこそ、最終的には非核化妥結の可能性も高まるだろう。金正恩への賞賛は、その後にしても遅くはない。
黃仁贊 hic@donga.com
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