申重鉉(80)に続いて、キム・ビョンドク(63)のアルバムが、米国や欧州で正式に発売される。
米国の再発掘アルバム専門流通会社「Light in the Attic」は最近、韓国の実験音楽家キム・ビョンドクのベストアルバム「Experiment No. X」をLPレコードの形で、世界市場に出した。米国、欧州の地元の人たちも市場で購入できる。「Light in the Attic」はこれに先立って、2011年、韓国人としては初めて申重鉉(シン・ジュンヒョン)の音楽の英語解説をアルバムに入れて発売した。
一般人にはなじみがないが、キム・ビョンドクは1990年代の韓国アートロック(art rock)と実験音楽の先駆者である。ジャズと現代音楽、芸術性と実験性を組み合わせた瞑想的音楽を追求した。当時、国内深夜ラジオを通じて、主に欧州アートロックが国内マニアたちの収集対象になっていたとき、動物園出身のイ・ソンウをはじめ、チョ・ユン、キム・ビョンドクが韓国的アートロックを発表して大きな話題となった。
今回のアルバムには、1992~1996年にキム・ビョンドクが出した「Experiment No. 2」「Pot Concerto」「New Trilogy」のアルバムに掲載された主要8曲が抜粋されて入れられた。「Shaman Tree」「Ride in Smoke」「Land of the Morning Calm」などである。キム・ビョンドクは、作曲や編曲はもとより、ギター、シンセサイザー、短簫の演奏まで担当した。キム・ビョンドクは東亜(トンア)日報とのインタビューで、「1990年代にアルバムを企画しながら、いつか欧州のマニアたちも韓国的瞑想の世界を、音楽を通じて理解できるだろうと考えた」とし、「20年ぶりについに夢をかなえられたような気がして感無量だ」と感想を明らかにした。
キム・ビョンドクは釜山(プサン)慶星(キョンソン)大学作曲科を中退した後、レコード店を経営して作曲に打ち込んだ。彼は、「人類が進むべき音楽の方向を示す作品を作らなければならないという考えで、当時、10年以上も作曲だけに嵌っていた」とし、「ただ一つの音を通じて瞑想に嵌り、エクスタシーに到達可能な音道の世界を一貫して追求した」と語った。彼はこれから、公演と新作発表も続ける計画だ。
今回アルバムを制作した「大韓エレクトロニクス」側の関係者は、「最近、欧米圏の若者の間では、キム・ビョンドクの音楽のような珍しいアンビエントミュージック(Ambient music)やニューエイジジャンルへの関心が高まっている」とし、「独創的で韓国的な実験を紹介したいと思った」と話した。
英国でマスタリングを、フランスでLP製作を引き受けたこのアルバムは、アマゾンドットコム、ターゲットなどの海外主要オン・オフラインの店舗で販売する。韓国ではキム・ビョンドクが直営する釜山のレコード販売店「モクトンレコード」(mucktong.com・051―246―3753)とソウルのメタボックス(metavox.co.kr)、LPラブ、クリクレコードなどで購入できる。
イム・ヒユン記者 imi@donga.com