今度は中国が、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長のメッセージを米ホワイトハウスに伝えた。韓国の対北朝鮮特使がホワイトハウスを訪れ、北朝鮮の非核化の意思と米朝首脳会談の意向など訪朝の成果を説明したように、中国がホワイトハウスに金正恩氏の訪中結果を説明し、韓半島問題の仲裁者に再び乗り出した。
●今度は中国が「北朝鮮メッセンジャー」に
ホワイトハウスは27日(現地時間)、金正恩氏が北京を離れた後、中国が金正恩氏の訪中を発表したことを受け、声明を出してこれを確認した。ホワイトハウスはサンダース大統領報道官の名義の声明で、「中国政府が火曜日にホワイトハウスに連絡し、金正恩氏の北京訪問について説明した」と明らかにした。サンダース報道官はこれに先立ち、定例会見では、トランプ大統領が金正恩氏の訪中の報告を受けたかという質問に、「大統領は北朝鮮に関連する多くの分野の最新の動向を注視している」と答えた。前日、シャー大統領副報道官が金正恩氏の訪中説報道と関連して、「報道を確認できていない。報道が事実かどうか分からない」と言ったのとは異なる。同日午後、ナウアート国務省報道官は定例会見で、「この訪問について中国といかなる話し合いもなかった」と答え、中国政府が国務省を経ずに直接ホワイトハウスに説明をしたか、午後遅くホワイトハウスに説明した可能性がある。
●首脳会談を控えて再接近する中朝
ホワイトハウスは、「説明には、中国の習近平国家主席がトランプ大統領に送る個人的なメッセージが含まれ、トランプ大統領に伝えられた」と明らかにしたが、個人的なメッセージの具体的な内容については公開しなかった。金正恩氏の非核化の意思や中国の役割など米朝首脳会談に関連した非公開メッセージが含まれた可能性が提起されている。
韓半島対話ムードから疎外されていた中国が、南北、米朝首脳会談を控え、北朝鮮を強く引き寄せた可能性もある。デニス・ワイルダー大統領補佐官(アジア担当)は、「ボイス・オブ・アメリカ」(VOA)とのインタビューで、中国が南北、米朝首脳会談について直接聞くために金正恩氏の訪中を強く求めたと語った。
大統領補佐官(国家安全保障担当)に内定した対北強硬派のジョン・ボルトン氏の登場が、金正恩氏の電撃訪中と中朝関係の改善につながったという分析も出ている。米下院情報委員会民主党幹事のカストロ議員(テキサス)は、ボルトン氏の起用について、「この政権と大統領が北朝鮮との外交が失敗すれば戦争をしかねないということを確認させる」と強調した。ドイツ外交協会のベルント・ベルガー・アジア首席研究員は、「軍事選択肢が再びテーブルに上がり、北朝鮮は交渉の全過程で強力な中国が必要になった」と分析した。
●非核化に向かった最大限の圧力の弱体化の憂慮も
ホワイトハウスは、金正恩氏の訪中を「最大限の圧力作戦が北朝鮮との適切な対話ムードを作っているという証拠」と評価したが、米メディアは、北朝鮮が中国との関係を修復して制裁緩和や追加制裁の無力化に出る場合、最大限の圧力作戦の戦列が乱れる可能性を憂慮している。
ブルームバーグ・ニュースは、「金正恩氏がトランプ氏との予定された対話の前に『中国が北朝鮮の側につく』という強力なメッセージを送った」とし、「中国との緊密な関係が、制裁を弱めさせ、さらに米国の軍事行動のコストを増加させるうえで、北朝鮮に役立つだろう」と指摘した。CNNは、中朝が完全な非核化ではなく核凍結やこれまで一貫して主張してきた「双中断」(北朝鮮の核・ミサイル挑発と韓米合同軍事演習の中断)などの非核化ロードマップを持ち出してきた場合、米国が虚を突かれる恐れがあると強調した。
朴湧 parky@donga.com · 韓基渽 record@donga.com