「合同チームは平和へのビッグサインだ」
トーマス・ワイカート国際卓球連盟(ITTF)会長の言葉には卓球が「平和のメッセンジャー」だという認識が読み取れる。2018世界卓球選手権の途中、南北合同チームの結成が実現した3日、スウェーデンのハルムスタッドで記者会見を開いたワイカート会長の顔には笑みがこぼれた。ワイカート会長は、ユ・スンミン国際オリンピック委員会(IOC)選手委員とともに今回合同チームの結成を主導した仕掛け人の一人だ。
ワイカート会長は、「我々のアイデア(合同チーム)が平和にプラスになると思った」とし、「先日は南北首脳会談が開かれた。スポーツが南北を後押しする」と強調した。最近融和ムードが強まっている韓半島情勢に卓球が平和の架け橋になりたいという望みを伝えたものだ。
「平和メッセンジャー」を担った歴史を強調したワイカート会長の言葉通り、卓球は国際情勢がこじれたとき、これを解消する窓口の役割を何度も担った経験がある。47年前に冷戦体制下で米国と中国の激しい対立を溶かした「ピンポン外交」が代表的だ。1971年に当時の米国代表選手団は中国の毛沢東主席の招待で北京入りし各都市を回った。その後、行き詰っていた米中間に旅道が開かれ、当時のリチャード・ニクソン大統領は20年間続いた中国との貿易禁止措置を解除した。こうして卓球が外交に使われたことについて、ワイカート会長は「卓球の伝統のようなものだ」と話した。ユ・スンミン委員も、これについて「スポーツの世界でも平和は重要だ。ITTFのモットも『卓球を通じた結束』だ。今回の合同チームの結成は、そうしたビジョンに合致している」と語った。
27年前に韓半島で初めて南北合同チームが結成されたのも卓球だった。1991年の千葉世界卓球選手権で韓国の玄静和(ヒョン・ジョンファ)と北朝鮮のリ・ブンヒが合同チームとしてプレーし、当時の強豪中国を破って金メダルを獲得し、国民に感動を与えた。
今回の合同チーム結成に必要だった数々の手続きの一つは、他の準々決勝進出国家の同意を得ることだった。ワイカート会長は、「(準々決勝に進出した)中国、ルーマニア、香港、オーストリア、日本、ウクライナが全て同意した」とし、「(合同チームは)偉大なことだし、世界平和のためだという反応を示した」と話した。
一方、合同チームのために試合ルールを変えても良いのかというデリケートな問題が提起された。南北合同チームのエントリーが9人に拡大されるなどの恩恵が与えられたと指摘する声がある。これに対し、ワイカート会長は「私はルールを尊重する」とした上で、「その通り。今回ルールを変えた。しかしルールより重要なのは平和に向けたシグナルだ」と強調した。そして「今度はルールを変えることはないだろう」とも話した。
金在亨 monami@donga.com