「韓国の携帯電話が、バングラデシュ、カンボジアの農村を蘇らせています」
国連内専門機関の一つである国際農業開発基金(IFAD)のジルベール・ウングボ総裁(57・写真)は11日、ソウル中区にあるホテルで東亜(トンア)日報の記者と会って、携帯電話をはじめとする韓国情報通信技術(ICT)が国際援助に与える前向きな影響についてこのように紹介した。発展途上国への援助は、農業機械や資金を提供したり、農法を伝授することを考えがちだが、ICT強国である韓国の代表商品である携帯電話が、発展途上国の農村で革命を起こしているという説明だ。ウングボ総裁は同日、ソウルで開かれた国際政府開発援助(ODA)フォーラムに出席し、IFADの主要加盟国である韓国政府との協力方策について議論するために韓国を訪れた。西アフリカ・トーゴ首相出身の氏は、昨年4月からIFAD総裁を務めている。
1978年にIFAD加盟国となった韓国は、176カ国のうち、貢献金基準では上位20カ国内に入る。最近では、ICTを貧困国農業に支援する事業に支援金を送っている。ウングボ総裁は、「インドの農民たちは携帯電話で天気情報を事前に把握することで、自然災害による農作物被害を減らしており、カンボジアの農家では、携帯電話で土壌、天候、防除措置等を知らせる『農村指導』を確認して農業生産性を高めている」と説明した。
1970年代に韓国で起きた「セマウル運動」も、「貧困国農村開発のモデル」として高く評価した。ウングボ総裁は、「セマウル運動は、測定可能な開発成果を上げたのはもとより、貧しい人々に『やればできる』という精神を植え付けて、長期的には皆が豊かに暮らせるというビジョンを共有した」とし、「世界のどこでもよく適用できる概念として、その価値が高い」と述べた。ウングボ総裁は、最近世界を騒がせした気候変動や様々な内戦によって脅かされる食料安保については深い懸念を示した。氏は、「食料安保が崩壊して苦しむ人口が2016年までは減少したが、2017年からは再び増えている」と紹介した。さらに「食料安保問題を解決するためには、人道主義的支援も必要だが、実際は長期的投資が持続可能な解決方法だ」と強調した。国際社会は貧困国に対して、単にお金と食糧を与えることにとどまらず、長い目で小規模自作農に農法を教えて自立できるようにする必要があるということだ。
IFADの支援が北朝鮮にまで届くかについて、ウングボ総裁は、「まだ対北朝鮮制裁が維持されており、私たちは国際機関として加盟国の利害関係を考慮する必要があるので、今答えるにはまだ早い」と語った。ただ、「北朝鮮はうちの加盟国なので、うちに協力を要請すれば、支援できるかどうかを検討するだろう」と付け加えた。
趙은아 achim@donga.com