「3敗するかもしれないし16強に入るかもしれない。五分五分だ。しかし、わざわざ自ら悲観的になる必要はない。希望を語ろう」
「百戦錬磨の老将」許丁シゲ(ホ・ジョンム)韓国プロサッカー連盟副総裁(65)は、ロシア・ワールドカップ(W杯)に出場する韓国代表チームに希望的なアドバイスを惜しまなかった。1986年メキシコW杯に選手として出場し、アルゼンチンの英雄ディエゴ・マラドーナ(58)を相手した許氏は、2010年南アフリカW杯では監督として韓国初の海外開催W杯16強入りという偉業を達成した。ソウル瑞草区(ソチョグ)ソレマウルにある自宅で許氏に会った。
●希望
「一部ではグループリーグで3敗(3戦全敗)するだろうという絶望的な話をする。しかし、どう準備するかによって十分16強に入ることができる」
許氏は、F組で戦うスウェーデンとメキシコ、ドイツが強いのは認めながらも、越えられない山ではないと話した。
「スウェーデンは他の欧州チームに比べれば、遥かに戦い易い。イタリアとの欧州予選プレーオフでも一方的に押されながら、一発のカウンターでW杯本大会出場を決めた。他の欧州チームに比べてパワーはあるが、鋭さは欠けている。メキシコを見よう。私たちが心理的に感じるところでは、南米チームよりは増しではないだろうか。そして韓国は歴代のメキシコ戦で決して悪くなかった。1998年フランスW杯ではハ・ソクジュがバックタックルで退場処分を受けて負けたが、試合内容は悪くなかった。2012年のロンドン五輪でも奮戦してメキシコと引き分けた。ドイツは名実共に世界最強だ。幸いに、韓国は最後に対戦する。ドイツが2勝を挙げていれば、決勝トーナメントに集中するため、あえて勝利にこだわらない可能性もある。決して死の組ではない」
許氏は、「海外組の孫興民(ソン・フンミン=トッテナム・ホットスパー)と奇誠庸(キ・ソンヨン=スウォンジーシティ)、権昶勲(クォン・チャンフン=ディジョンFCO)、黄喜燦(ファン・ヒチャン=ザルツブルク)、国内組の李根鎬(イ・グンホ=江原)、李在成(イ・ジェソン)、金信旭(キム・シンウク)、イ・ヨン(以上全北)、朴柱昊(パク・ジュホ=蔚山)ら攻撃陣とMF陣、DFまで、結構良い戦力だ」と離した。
●セットプレーと多様な攻撃パターン
「韓国が南アフリカで6ゴールを決めたが、そのうち4ゴールがセットプレーから出た。攻撃と守備ともに、セットプレーの場面での多様な動き方を予め準備しておかなければならない。セットプレーでゴールを決めると大きな力になるが、逆の場合は力が抜けてしまう。それだけセットプレーは重要だ。南アフリカ大会では攻守でセットプレーの準備を沢山したし、その結果16強まで進むことができた」
許氏は、「攻撃が最善の守備」だとして攻撃的なプレーを注文した。
「南アフリカでアルゼンチンに1-4で負けたけど、韓国は決して押されなかったとの評価を受けた。攻め続けたからだ。様々な攻撃パターンを練って、繰り返して練習しなければならない。そして速いカウンターをうまく活かさなければならない。孫興民という傑出したスタープレーヤーがいるのだから、磨きを掛ければカウンターで良い結果を出せるはずだ」
●選手たちを信じてコミュニケーションを
許氏は、申台龍(シン・テヨン)監督がトニー・グランデ・コーチ(71)やハベエル・ミニャノ・フィジカルコーチ(51)をうまく使うべきだと強調した。
「世界最強のクラブであるレアル・マドリードとスペイン代表チームで指導者としての経験を積んだグランテ・コーチをうまく活用しなければならない。監督が血気任せで押し通そうとせず、一緒に議論しながら最上の選択をしようとする姿勢を示すことが重要だ」
その上で選手たちとのコミュニケーションも強調した。
「選手を信頼しなければならない。偏愛は組織力を潰す。また最高の舞台で活躍している選手をみとめなければならない。南アフリカでは朴智星(パク・チソン)、李榮杓(イ・ヨンピョ)、金南一(キム・ナムイル)ら経験豊富な選手が多かったので、実際彼らに任せる時が多かった。先輩が率先すれば後輩は従うものだ。監督は、また選手同士で信頼するようにしなければならない。南アフリカでは場面毎にみんなで討議しながら『こういうときはこうして、ああいうときはこうして』と話し合う中で組織力が強くなっていった。最近流行っている『ワンチーム』という言葉通り、みんなが自然な形でコミュニケーションする雰囲気を作ることが重要だ」
梁鍾久 yjongk@donga.com