「マンション1戸価格」の区長
Posted May. 21, 2018 08:50,
Updated May. 21, 2018 08:50
「マンション1戸価格」の区長.
May. 21, 2018 08:50.
by 盧志炫 isityou@donga.com.
「こんにちは。無所属候補のノ・ジヒョンです。ここ○○区でうちの家族4代が暮らしてから50年になります。私の住む町には、高齢者が多いです。ところが行くところないと言われています。60代のシニアの方々は『楽しくない』と敬老堂に行くことを嫌っています。80歳を超えると、足が痛くて外出することもままなりません。銭湯にもたびたび行きたいけど、忙しい子たちに連れて行ってもらうことも容易ではありません。私が区長になれば、高齢者福祉予算を切り盛りして、破格な『高齢者幼稚園』を作ります。送迎バスを朝夕に運行します。地下には大型バスをおきます。花札や将棋、チェスはもとより、仮想体験(VR)機器まで備えます。バスの運転手、栄養士、有給ボランティアをすべて地元で雇います。青年雇用が生じ、両親の世話のことで争うことがないようにします!」想像で書いてみた6・13区長選挙の公約だ。言葉は簡単だ。問題はこのような公約を実践に移すポストに座るためには、お金がかかることだ。候補者は、住民に挨拶するために、一日に少なくとも3000人に名刺を配らなければならない。その費用だけでも、少なくとも200万ウォンはかかる。選挙区の重要な場所に掲げる垂れ幕や地域選挙管理委員会に提出して有権者に配る公報物の制作費も少なくない。中央選挙管理委員会によると、2014年の地方選挙で、ソウル市25区の区長候補らの公式選挙費用のうち、最多は2億5708万ウォン、最小は1億944万ウォンだった。公職選挙法によると、この選挙費用は事後補てんを受けることもある。得票率が15%以上なら全額補てんされる。15%でなくても、10%以上なら、50%は返してもらうことができる。もちろん大多数の無所属候補には考えることすらできない。政党の支援もなく認知度も低い。地域の有力郷友会を盾にするだけのコネもあまりない。だから記者が退職金をはたいて選挙に使っても、後で一文無しになる確率は99%だ。これさえも、領収書処理をしない、あるいはできない「見えないコスト」に比べると、雀の涙である。党内予備選挙や組織構成・管理にかかるお金などを合わせると、区長挑戦費用は「ソウルの中型マンション1戸の価格」というのが定説だという。だから「父が『政治病』にかかると、子供が食い止めなければならない」という言葉が昔から出てくるのだろう。「30年間の市政経験をこれからは区の発展のために使いたい」と、区長に挑戦するソウル市の元現職公務員が少なくなかった。公式候補登録日が後一週間も残っていない今、あきらめた人の方がより多い。「党の戦略公認を受けなければ、財産だけを無くすことになる」、「我々のような公務員が見る夢ではない」という言葉も出てくる。大きな問題が浮き彫りになったことはまれだが、一部の区では、人事異動のシーズンになれば慣行的に公務員が人事権者である区長に、請託性「封筒」を上納するという噂が絶えない。利権に介入して裏金を受け取ったため、刑事処罰を受ける地方自治体長たちも少なくない。むしろ区長は、市長が任命するのが良いのでは、という自嘲交じりの声もある。有権者の責任がさらに重大になる頃だ。
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「こんにちは。無所属候補のノ・ジヒョンです。ここ○○区でうちの家族4代が暮らしてから50年になります。私の住む町には、高齢者が多いです。ところが行くところないと言われています。60代のシニアの方々は『楽しくない』と敬老堂に行くことを嫌っています。80歳を超えると、足が痛くて外出することもままなりません。銭湯にもたびたび行きたいけど、忙しい子たちに連れて行ってもらうことも容易ではありません。私が区長になれば、高齢者福祉予算を切り盛りして、破格な『高齢者幼稚園』を作ります。送迎バスを朝夕に運行します。地下には大型バスをおきます。花札や将棋、チェスはもとより、仮想体験(VR)機器まで備えます。バスの運転手、栄養士、有給ボランティアをすべて地元で雇います。青年雇用が生じ、両親の世話のことで争うことがないようにします!」
想像で書いてみた6・13区長選挙の公約だ。言葉は簡単だ。問題はこのような公約を実践に移すポストに座るためには、お金がかかることだ。
候補者は、住民に挨拶するために、一日に少なくとも3000人に名刺を配らなければならない。その費用だけでも、少なくとも200万ウォンはかかる。選挙区の重要な場所に掲げる垂れ幕や地域選挙管理委員会に提出して有権者に配る公報物の制作費も少なくない。
中央選挙管理委員会によると、2014年の地方選挙で、ソウル市25区の区長候補らの公式選挙費用のうち、最多は2億5708万ウォン、最小は1億944万ウォンだった。公職選挙法によると、この選挙費用は事後補てんを受けることもある。得票率が15%以上なら全額補てんされる。15%でなくても、10%以上なら、50%は返してもらうことができる。
もちろん大多数の無所属候補には考えることすらできない。政党の支援もなく認知度も低い。地域の有力郷友会を盾にするだけのコネもあまりない。だから記者が退職金をはたいて選挙に使っても、後で一文無しになる確率は99%だ。
これさえも、領収書処理をしない、あるいはできない「見えないコスト」に比べると、雀の涙である。党内予備選挙や組織構成・管理にかかるお金などを合わせると、区長挑戦費用は「ソウルの中型マンション1戸の価格」というのが定説だという。だから「父が『政治病』にかかると、子供が食い止めなければならない」という言葉が昔から出てくるのだろう。
「30年間の市政経験をこれからは区の発展のために使いたい」と、区長に挑戦するソウル市の元現職公務員が少なくなかった。公式候補登録日が後一週間も残っていない今、あきらめた人の方がより多い。「党の戦略公認を受けなければ、財産だけを無くすことになる」、「我々のような公務員が見る夢ではない」という言葉も出てくる。
大きな問題が浮き彫りになったことはまれだが、一部の区では、人事異動のシーズンになれば慣行的に公務員が人事権者である区長に、請託性「封筒」を上納するという噂が絶えない。利権に介入して裏金を受け取ったため、刑事処罰を受ける地方自治体長たちも少なくない。むしろ区長は、市長が任命するのが良いのでは、という自嘲交じりの声もある。有権者の責任がさらに重大になる頃だ。
盧志炫 isityou@donga.com
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