会社員のイ・スジン氏(35)は最近、「お兄さんたち」の公演に行くことを思うと胸がときめく。 「そんなときは私のことを考えて/君がみすぼらしくなっても…」「君のそばには私がいるじゃないか/病んでいる世界は崩れていくが…」。「君がそんな時は」「アガペー」の歌詞を覚えながら、「テチャン(一生に合唱すること)」も準備している。ソウル中区(チュング)にある奨忠(チャンチュン)体育館で3日行われるロックバンド「イブ」(1998年にデビュー)の20周年コンサートのためである。
「イブのボーカル、キム・セホン氏が『アスピリン』で有名なバンド『ガール』で活動していた時からのファンでした。高校卒業を機に忘れて生きてきたが、この前、テレビに出てきたのを見て、再び心に火がつきました」
かなり大きい規模の今回のコンサートは、31日現在、チケットはほぼ売り切れとなっている。イ氏は一人で行かない。「高3のクリスマスイブにキム・ギョンホのコンサートに行って、長い髪を解いてヘッドバンギングを一緒にやった友達と一緒に」だ。
イブのキム・キョンホ(1994年・以下はデビュー年度)、K2(1995年)、エメラルドキャッスル(1997年)…。
1990年代に主流歌謡界で活動したロックバンドが、公演市場で第2の全盛期を迎えている。「私を悲しませる人たち」をヒットさせた高音のロックボーカル・キム・ギョンホは、10年間全国ツアーを回っている。今年も2日、ソウル西大門区(ソデムング)にある延世(ヨンセ)大学大講堂を皮切りに巡回公演を行う。「彼女の恋人に」「ガラスの城」で有名なK2(キム・ソンミョン)は、「歩み」のエメラルドキャッスルと1月、ソウル合同公演「二つの城」を開いた。2日は済州(チェジュ)で公演を行って、全国に舞台を広げていく。
彼らの全盛期はアイドルグループの胎動期と重なる。H.O.T.(1996年)、ジェクスキス(1997年)が、巨大なファン層を形成した時期、ロックファン層はアイドルファン層に隠れて、より少なくスポットライトを当てられた。
今、「あの時、あのバンド」の公演市場の善戦を牽引するのは、当時10代だった30代の会社員である。インターパークによると、イブの20周年コンサートの予約買い者のうち、82.6%が30代である。 K2-エメラルドキャッスルの済州公演は、30代(50%)と40代(35%)が主に予約買いした。
キム・ハクソン大衆音楽評論家は、「当時は、テレビの歌謡番組に多数のロックバンドがアイドルグループに混ざって出演し、ロックミュージシャンがアイドルに比べて音楽性が高いという見方も相当あった」と語った。静かだが、強い忠誠心を形成していたファン層が、就職後、チケット購買力まで備えたことで、公演会場に戻って来ている。
イム・ヒユン記者 imi@donga.com