4日午後8時、フランス・パリ中心部のシャンゼリゼ通りに位置する高級住宅の建物に盛装した女性が一人二人と集まった。フランスのオークション会社アールキュリアルが主催する高価美術品のオークションのある日だった。美術品の愛好家からギャラリー、ディーラー、美術館関係者まで、多くの人が集まって、180席の全席がすぐいっぱいになった。50人余りは立ったままオークションを見守らなければならなかった。
この日は、印象派画家ゴッホとポール・ゴーギャン、キュビズムのパブロ・ピカソ、ポップアートの先駆者と呼ばれるアンディ・ウォーホルなどの有名作家の作品57点のオークションが予定されていた。
最も注目を集めた作品は、20年ぶりにパリのオークションに出てきた「不滅の画家」ゴッホの作品で、「砂丘で網を修理する女性たち」だった。1882年、オランダのハーグ近くで描いた油絵作品でゴッホの初期絵画だ。ゴッホ作品のオークションを企画したアールキュリアルのブルーノ・ジョベル副会長は、「ゴッホがフランスで花咲かせた風景画の主な特徴を内包している非常に重要な作品だ」とし、「砂丘と浜辺の広大な風景、網袋を修理する漁師の妻たちの姿を描いたが、最も興味深いことはこの時から人が住んでいる土地の重要性を強調したことだ」と説明した。
オークションの予想落札価格は300万~500万ユーロ(約37億5000万~62億6000万ウォン)。ジョベル氏は、「オークション市場でのゴッホの初期作品の相場だ。ゴッホの絵の中で最も高価なものは死ぬ直前に描いた作品で、3000万~5000万ユーロに達する」とし、「しかし、オークションが実際開く前は、正確な落札価格を予測するのは難しい」と語った。
ゴッホの絵が14番目にオークションに出ると、現場では緊張感が漂った。オークションの開始価格は200万ユーロ(約25億ウォン)だったが、現場だけでなく、携帯電話やインターネットを通じて1秒に20万ユーロずつ価格が上がった。390万ユーロに達すると、金額を呼ぶ速度は多少遅くなりながら、電話参加者1人と現場に出てきた男性1人だけが残っているようだった。しかし、500万ユーロを超えて、二人の悩みが長くなる頃、会場の一番後ろの奥まったところに立っていたとある東洋人が560万ユーロをつけた。しかし、最終的には電話参加者が600万ユーロを呼んで落札し、現場では大きな拍手が出た。オークションの主催側は、「税金を含めると、落札者が支払うお金は正確に706万5000ユーロ(約88億6000万ウォン)だ」とし、「(落札者)は北米人だ」と耳打ちした。終盤にオークションに参加してゴッホの作品を逃した東洋人は、16番から始まったポール・ゴーギャンの3つの肖像画作品を相次いで購入した。
オークションの途中、とある男性が友達を呼ぼうと手を挙げて、オークション参加者と誤解されるハプニングもあった。この男性は、「危うくあっという間に56万ユーロが消えるところだった」と話して、周りから笑いが出た。
同日オークションに出た作品57点の評価額は2368万5000ユーロ(約296億9000万ウォン)。オークションがすべて終了までは90分もかからなかった。通常評価額の1.2~1.5倍に達する価格で落札されることを考慮すれば、1分に4億5000万ウォンずつ取引が行われたことになる。オークション参加者は、「以前は印象派をはじめとする近代美術の人気が高かったが、最近では現代美術が圧倒的に価格が高く、オークションに出てくる作品量も多い」と話した。
董正民 ditto@donga.com