「ブラジル・ワールドカップ(W杯)はいつ始まるんですか?」
数日前に、ある会合で後輩が質問した。同席していた殆どの人は正確な開幕日を知っていなかった。本当の問題は、別にあった。ブラジルW杯だなんて?ブラジルW杯は4年前の大会だ。2018年W杯の開催国はロシアだ。開幕日は14日だ。
今大会は歴代W杯の中で韓国国民の関心が最も薄い大会のようだ。世界のサッカー祭典の開幕を、わずか数日後に迫ったが、なかなか盛り上がりに欠けている。
最近あった別の会合では久しぶりにW杯が話題に上った。ところが、聞いていると後味が悪かった。「(グループリーグ)3戦全敗間違いなし」「監督は何する人間なのか分からない」「ロシア観光は早く済まして帰ってもらいたい」。良い話しは一つもなかった。国を代表する選手たちを、ここまで馬鹿にしても良いのかと思うほどだった。
ロシアW杯に出場する韓国代表は、大会が始まる前から二重苦に苦しんでいる。無関心と過度な期待からもたらされる批判だ。最近のボリビアやセネガルとの親善試合、そして先の試合で見せたプレーが失望的なものだったのは事実だ。しかし、冷静に言うと、それが我々の実力で現実だ。12日現在、韓国の国際サッカー連盟(FIFA)ランキング57位だ。順位相応のレベルのプレーを見せただけで、監督や特定選手が順調だったチームを駄目にしたわけではない。
ファンの期待が高まったのは、2002年の韓日W杯が決定的な転機となった。自国で開催されたW杯で韓国は4強神話を達成した。前人未到の偉業だった。韓国代表を率いたフース・ヒディンク監督(オランダ)は、一気に国民の英雄になった。
だが、皮肉にも、その後の韓国サッカーは2002年の神話に足を引っ張られている。2002年以前は1勝もなかった韓国は、その後、少なくともベスト16に入らなければならないという強迫観念にとらわれた。実力や環境は度外視した。テストマッチでさえ勝てないと、一瞬にして国賊になってしまう。
監督も選手たちも大きな重圧を感じる他ない。プレッシャーはミスにつながる。自分の技量を100%発揮しても物足りないところで80%も発揮できなくなる。すると、ファンの批判はさらに激しくなる。今の韓国代表が経験している悪循環なのだ。
韓国がF組に入ったドイツ(1位)、メキシコ(15位)、スウェーデン(24位)に勝つのは簡単なことではない。立場を変えて考えると、負けて当たり前だし、勝てば2、3倍喜ぶべきことだ。批判よりは応援が韓国選手たちをさらに躍らせる。
サッカーを愛してやまないイタリアやオランダ、スポーツ強国(サッカーは別だが)の米国は、今回のW杯には参加もできない。そんな国に比べれば、韓国はすでに恵まれていると言える。期待値を下げれば、W杯をより楽しめるようになる。
李憲宰 uni@donga.com