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労働時間短縮、「夕方のある暮らし」の代わりに「夕方飢える暮らし」にならにように

労働時間短縮、「夕方のある暮らし」の代わりに「夕方飢える暮らし」にならにように

Posted June. 18, 2018 07:42,   

Updated June. 18, 2018 07:42

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京畿道高陽市(キョンギド・コヤンシ)のバス会社ミョンソン輸送では、この3ヵ月間、100人近い運転手が辞表を出した。来月、労働時間短縮にともなうフレックス勤務制が導入されれば、実質収入が減ることを心配したためだ。給与が減る前に退職金を受け取って別の仕事を探すという運転手もいる。運転手の給与は基本給より手当てが多い構造だ。フレックス勤務制が導入されれば、これまでの追加勤務が基本勤務として集計され、同じ時間働いても給与が減る可能性がある。週52時間勤務が適用される来年7月以後は給与は増える。

路線バスだけではない。飲食業や中小・中堅企業を中心に収入が減るという労働者の悲鳴が聞こえている。レストランの場合、労働時間の短縮を控え、企業の会食が減った影響が大きい。最低賃金の引き上げまで重なり、事業主が従業員の勤務時間を減らしたり解雇することも多い。実際に従事者5~9人の小規模レストランの臨時労働者が受け取る時給は、昨年より8.6%上がったが、月給の総額は5.9%減った。

産業現場の反発にもかかわらず、政府が週52時間勤務の導入を押し切ったのは、経済協力開発機構(OECD)の最高水準である労働時間を減らし、労働者に「夕方のある暮らし」を提供するという趣旨だった。減った労働時間だけ雇用が増えるという期待もあっただろう。しかし、景気が悪くなり、解雇を簡単にできない状況で、企業が採用を増やすこともない。雇用は増えないまま労働者の実質賃金だけ減ることになったわけだ。

国会予算政策処は、労働時間短縮で全体労働者の12%が賃金が減少すると見通した。雇用形態が不安定で手当ての依存度が高い非正規職と低賃金労働者の賃金減少幅が大きい。労働者の間で「夕方のある暮らし」でなく「夕方に飢える暮らし」になるという反応が出てくるのもこのためだ。産業現場との意思疎通なく机上で作り出した政府の労働にやさしい政策がかえって労働者の生活を脅かすという逆説だ。にもかかわらず、雇用労働部は明確な対策もなく「ひとまず施行した後に補完する」という話だけしている。無能で情けない。