アイスランドは世界有数の「作家たちの天国」だ。以前、BBCは、この国の国民10人のうち1人が本を出していると伝えたことがある。もちろん、大多数は専業作家ではなく旅行ガイドなど生業を営む傍らで本を書いている。1955年にアイスランド語で作品を書いてノーベル文学賞を受賞したハルドル・ラクスネス氏は、同国の大きな誇りだ。
◆1944年にデンマークから独立したアイスランド。遅れた独立を契機に、バイキングの後裔たちは、物語と文学を通じて自らのアイデンティティーに関心を持つようになった、との見方もある。人口33万あまりで、ソウル市の道峰区(トボング)ほどの北欧の小さな島国は、21世紀に入って世界を震撼させた。2008年の世界的な金融危機に見舞われて国際通貨基金(IMF)の救済金融を受けたときと、2010年に火山噴火で航空大乱が起きたときで、気の毒にもどちらも否定的なニュースだった。
◆今度は肯定的なニュースでアイスランドが世界の注目を浴びている。サッカー・ワールドカップ(W杯)予選で代表チームが7勝1分け2敗を記録して初のW杯本大会進出を決めたからだ。16日(現地時間)、モスクワで行われたD組初戦でアイスランドはアルゼンチンと1-1で引き分けた。「サッカーの辺境」から参加したチームが「常連の優勝候補」と引き分けたのだから、事実上勝ったも同然だ。この試合の殊勲はスーパースター、リオネル・メッシのPKを止めたGKハンネス・ハルドルソン。歯科医師を兼業するGKをはじめ多くの選手が二つの仕事をしながら成し遂げた結果であることにもっと驚かされる。
◆変わったことは、この日の試合に出場して選手たちの名前が、いずれも「ソン」で終わること。アイスランドの人名には名字がない場合が多い。語尾につけるのは、誰々の娘、息子を意味し、父や母の名前に娘(dottir)や息子(son)といった性別をつける。選手名に「son」が多いのは、そのためだ。自国選手を応援するためにアイスランド国民の約1%にあたる3000人あまりが競技場を訪れた。火山と氷が共存しているように、本に打ち込み、サッカーに熱狂する国に興味が沸く。一体、アイスランドには何があるのだろうか?