うれしい面々が帰ってきた。韓国文壇の代表的な中堅作家たちが新作で大挙出撃したのだ。登壇後20~30年以上活発な創作活動をし、独自の文学世界を着実に構築してきた彼らが、さらに深く細心な小説で読者のもとにやって来た。
『いつか流される家で』(1万3千ウォン・文学と知性社)は、チョ・ギョンナン氏が5年ぶりに出した短編小説集だ。淡々として落ち着いて日常の瞬間、心の動揺を捉えた短編が収録された。一瞬単調で平凡に見える日常の中で発見する関係の隙間、傷、感情の波を水が流れるように自然に解きほぐし静かな安らぎを与える。
タイトル作は、継父と暮らす37歳の男、この家に来ることになった19歳の家政婦が新しい形の家族に発展していく話。各自の事情と傷、奇癖を持つ人々が一つの空間でぶつかりあって家族になって行く話が穏やかな感動を与える。乗り換える駅を通り過ごして偶然に集会の人で溢れた都心の広場に向かって歩き出すことになった青年の話『11月30日』、妻に別れを告げる中年男性の話を書簡体で打ち明けた『長い別れを考える』などが収録された。
キム・インスク氏の『たった一日の永遠の夜』(1万3千ウォン・文学ドンネ)も短編小説集だ。人生の冷酷さと不可解さが吸引力のある話と蘇生する人物を通じて時にはこっけいに、時には息詰まる緊張で奏でられていく。『テルマとルイス』は、90歳になった姉妹が家出を強行した話。偏見を破るおばあさんの挑戦、様々な世代の女性の愉快な連帯が興味深く繰り広げられる。平凡な家庭を築いてきた一人の男が抱える背筋が寒くなる秘密の世界についての話『空き家』、一日の逸脱で消えない侮辱と一生戦わなければならなかった老教授の死を扱った『たった一日の永遠の夜』などが収録された。
歴史分野で人気作を出した「話屋」キム・タクファン氏は、朝鮮末期を風靡した実存の人物、タルムンの一代記を扱った長編小説『このように孤高な演芸』(1万6800ウォン・ブックスフェア)で帰ってきた。口が耳まで裂け、耳が肩につくほど伸び、眉毛のない大きな目の見にくいタルムン。しかし、卓越した舞踏家であり、機知にとんだ話で朝鮮を魅了した彼は、財産や名誉より困った人を助けることを優先し、富貴栄華より踊り歌う街頭の暮らしを選ぶ。高麗人参店を経営し、小説家を夢見るモドクの視点で「限りなく良い人」タルムンの暮らしが興味深く繰り広げられる。
イ・スンウ氏の『つくった涙、こらえた涙』(1万3500ウォン・心の散歩)は、短い小説27編を収録した作品集だ。短いエピソード、断想を通じて謎のような人生に質問を投げかける。小説で書こうとする素材がすべて誰か書いたようで、何も書けなくなった作家(『読もうとしないことから』)、マラソンで徹底して健康を管理してきた工場オーナーが工場の廃水、媒煙のために死を迎える話(『走る男』)など、人生のアイロニーと矛盾を鋭く捉えた話が収録された。
さらに円熟して流麗になった彼らの作品世界は期待を裏切らない。残されたことは、どの作品を先に読むのがいいか楽しい悩みだけだ。
パク・ソンヒ記者 teller@donga.com