黄色いユニホームを着た選手が転がる。サッカーボールとボーリングボールに合成されて転がり、高速道路を走る車と一緒に転がる。メキシコ戦との決勝トーナメント1回戦以降、嘲笑の対象になったネイマールの話だ。ネイマールは2日(以下韓国時間)のメキシ戦でミゲル・ラジュンに足首を踏みつけられた瞬間に見せたリアクションが「大袈裟」と揶揄されている。ソーシャルメディア(SNS)ではネイマールを悲鳴を上げながら転がり続ける姿を合成したパロディーが殺到している。
「大袈裟」リアクションの原因はラジュンが提供した。後半27分、ラジュンがグランドに倒れ込んでいるネイマールに近づいてボールを拾う中でネイマールの足首を踏んだ。ネイマールは踏まれた右足首を手で押さえて、悲鳴を上げながらのたうち回った。主審が試合をいったん中断させてビデオ判定(VAR)審判に意見を聞いたが、故意ではないと判断し試合続行を宣言した。深刻なケガをしたかのように見えたネイマールは、しばらくして立ち上がって何事もなかったかのようにピッチを駆け巡った。
踏まれた度合いに比べて、過剰なリアクションだという見方が広まり、ネイマールに対する批判の声が殺到している。試合終了後、メキシコ代表のフアン・カルロス・オソリオ監督は、「サッカーの恥だ。サッカーは倒れ込んで声を上げることではない。男たちが激しくぶつかり合う試合だ」と言い、ネイマールの行為を激しく批判した。試合を中継したBBCの解説者コナー・マクナマラ氏は、「まるでワニに噛まれたかのようなリアクションをしている。手足を失ったかのようだ」と揶揄した。BBCは1ゴール1アシストを挙げて勝利をけん引したネイマールに、両リームを通じて最下点の4.76を与えた。
ネイマールは、「メキシコのサッカースタイルは、何よりも僕をケガさせて弱くしようとする」とし、メキシコのラフプレーに不満を語った。ラジュンが踏んだネイマールの右足首は、わずか5ヵ月前に負傷した部位だ。完全回復から復帰して1ヵ月も経たない。今年2月にネイマールはマルセイユとのリーグ・アン試合で右足首を捻って倒れ込み、起きれないまま担架で運び出された。二日後に、足首じん帯捻挫と第5中足骨骨折と診断され、手術を受けた。ネイマールのW杯欠場を懸念したブラジルサッカー協会は、主治医をパリに派遣しネイマールの状態を点検することにした。
負傷の悪夢は4年前にもネイマールを襲った。2014年に自国で開催された、自身初のW杯でネイマールは、準々決勝のコロンビア戦で、相手DFフアン・カミロ・スニガと衝突し、脊椎を負傷した。グループリーグで4得点を挙げ、名実ともにブラジル代表のエースとして活躍したネイマールだが、この負傷ですぐ代表チームを離脱した。その後、準決勝で対戦したドイツに1-7という屈辱的なスコアで屈する自国代表の姿を病院で見守らなければならなかった。この時のことについて、ネイマールは「自分の人生で最高の試練」だったと語っている。
ネイマールの「大袈裟」なリアクションは確かに非紳士的な行為ではあるが、彼にファウルを伴う集中マークがつくにも事実だ。ネイマールは先月18日のグループリーグ・スイス戦で、一人で10回のファウルを受けて無得点に終わったのは気の毒だった。コスタリカとのグループリーグ第2戦では、今大会初ゴールを決めた後、ピッチに座り込んでしばらく涙を流し、ブラジルのエースが受ける重圧の大きさを伺わせた。ネイマールは、SNSで涙の意味について「自分がここに来るまでにどんなことを経験したのか、誰も知らない」と言い、「僕の涙は喜びと難関の克服、そして勝利への情熱から出てきたものだ」と書き込んだ。
チョ・ウンヒョン記者 yesbro@donga.com