ベスト4進出を争う「サッカーの本家」イングランドと、「堅守」のスウェーデンの一戦は両チーム監督の知略対決がさらに激化しそうだ。
イングランドとスウェーデンは7日の午後11時、サマラでロシア・ワールドカップ(W杯)準々決勝を行う。1966年のイングランドW杯で優勝して以来52年ぶりに頂上を目指すイングランドのガレス・サウスゲート監督(48)は、「融合型指揮官」と呼ばれる。サッカーだけでなく、ほかのスポーツの技術などをチーム戦術に生かしているからだ。米国NBCによると、サウスゲート監督はアメリカンフットボールリーグ(NFL)と米プロバスケットボール(NBA)を参考にしながら、セットプレー戦術を完成したという。
NBCは、「2016年イングランド代表監督に就任したサウスゲート氏は2017年と2018年のNFL決勝のスーパーボウルを観戦した。また、NFLとNBAチームを訪問し、選手たちの有機的な動きや相手守備を崩すスペースを作る能力を集中的に研究した」と伝えた。こうした努力は、イングランドのセットプレー能力の向上につながった。CKやFKなどで、選手たちが事前に決めた動きで、相手DFを交わしながら得点に成功しているからだ。イングランドは今大会で記録した9得点のうち4ゴール(PKを除く)をセットプレーから奪った。サウスゲート監督は、「チームの弱点を補強するためにはどんな新しいアイデアでも受け入れる」と話した。
イングランドが善戦している中、サウスゲート監督の人気も急上昇している。サウスゲート監督は、毎試合ワイシャツの上にベストを着る。サウスチャイナ・モーニング・ポストは「英国でサウスゲート氏が切るベストの注文量が35%増加した」と報じた。サウスゲート監督のベストには、「カミングホーム(Coming Home)」という文言が施されているが、優勝トロフィーとともに帰国したいという意志の表れだという。
サウスゲート監督は現役だった1995年から2004年まで、イングランド代表MFとして活躍し、エリートコースを歩んだ。
一方で、韓国にF組のグループリーグで手痛い初黒星を与えたスウェーデンのヤン・アンデルソン監督(56)は、代表選手の経験がない。現役を引退した後の2011年にスウェーデンのプロサッカークラブのノルシェーピンの監督に就任した。勉強家で知られるアンデルソン監督は、相手チームに対する徹底した分析をもとに、弱体に分類されたノルシェーピンを2015年にリーグ優勝に導いた。2016年のスウェーデン代表監督就任以降、堅実な組織力をもとにしたシステムサッカーで突風を巻き起こしている。
スウェーデンは韓国戦からチーム戦術に大きな変化がなかった。最前線の2枚のFWを立てて4-4-2の布陣で臨み、安定した守備をもとに鋭いカウンターを狙う。アンデルソン監督は、「相手チームの試合映像を1000本以上見てから弱点などが露呈される主要場面を20~30分の映像に編集して選手たちに伝える」と話した。また、相手の戦力を把握するため、戦力分析官を秘密裏に派遣し、練習を覗かせるなど情報戦にも優れた能力を発揮している。国際サッカー連盟(FIFA)は、「アンデルソンの熾烈な準備と戦略樹立のお陰でスウェーデンはトップクラスの選手がない中でも快進撃を続けている」と評価した。選手たちの円滑なコミュニケーションで自信を高めたことでも有名だ。
イングランドとスウェーデンの主将は、決戦を控えて勝利への決意を語った。6ゴールで得点ランキング首位を走っているイングランド代表FWハリー・ケイン(25)は、「これまでの自分の成績に満足できない。スウェーデン戦で多くのゴールを決めたい」と話した。スウェーデンDF陣のリーダーで、韓国戦で決勝点を挙げたアンドレアス・グランクビスト(33)は、「私たちが維持してきた戦い方と強みを生かしてイングランドを破る」と意気込みんだ。
スウェーデンはグランクビストを中心にした堅守と、クリエイティブなパス能力を備えたMFエミル・フォルスベリ(27)を中心にしたカウンターでイングランドのゴールを狙うとみられる。
鄭允喆 trigger@donga.com