2003年、西欧を襲った猛暑は、世界的に最悪の自然災害に挙げられる。連日摂氏40度前後を記録した気温で、先進国である西欧全体で約3万5000人が死亡した。フランスだけで1万4800人余りが死亡したと集計された。このうち1万人近くが、バカンスシーズンに都心に一人に残された力のない高齢者だった。韓国なら国が大騒ぎとなったはずである。福祉先進国フランスの暗い一面である。
◆韓国でも台風、洪水、地すべり、大雪などの複数の自然災害の中で、最も大きな人命被害を出した災害は猛暑だ。国立気象研究所によると、1994年、猛暑による脱力や熱中症などで3384人が死亡した。その次は、光復(日本植民地からの独立)前だった1936年、南北をあわせて1104人が死亡した台風3693号(当時は台風に名前を付けず番号で呼んだ)、1959年に768人の命を奪った台風「サラ」だった。最近ソウルは日中の最高気温が36度、大邱(テグ)は38度を超えている。今年に入って熱中症患者が全国で801人が発生し、このうち8人が死亡した。
◆行政安全部が、猛暑を酷寒と一緒に新たに自然災害に含める方針だという。猛暑酷寒は季節的変化に応じて徐々に変わるので、備えることができるということで災害から除外させてきた。ところが、今は地球温暖化まで重なり、予期できないほど気温が上がり、長く続くうえ、被害範囲が広いという点が考慮された。災害安全法、自然災害になると、これに備える予算や被害補償で以前とは差がある。
◆気象異変は天のことだが、これを防ぐのは人間のことだ。2003年の猛暑(canicule)を経験したフランスは、その翌年まで1年間にかけて事故原因、責任範囲と処理結果はもとより、高齢者保護システムの改善案を盛り込んだ膨大な総合対策を発表した。1995年に700人余りの猛暑死者が発生したシカゴも、予防策を用意した結果、1999年に似たレベルの猛暑が再び発生したとき、死亡者数を110人に減らすことができた。一週間後に対策が出てきて、1年が過ぎると忘れてしまう私たちとは対照的である。
金光賢 kkh@donga.com