「これまでみてきた外国人投手で最高です」
シーズン開幕前にハンファのハン・ヨンドク監督は新しく獲得した外国人投手キーバス・サンプソン(27)の活躍に強い自信を語った。年俸70万ドル(約7億8000万ウォン)で、昨年150万どる以上をかけたハンファの外国人投手たちに比べて格安だったうえ、スプリングキャンプではマウンドですぐ崩れる姿を見せたため、ハン監督の外交辞令程度に思われた。エースの象徴である先発1番手を任されたが、開幕2試合で5回を全うせず2敗(防御率12.46)を喫し20年間、まともな外国人投手を一人もいなかったハンファの「外国人投手黒歴史」が今年も繰り返されるかのようだった。
「自分はエースの資質があると思っていたんです。あの時は、短期間で韓国、米国、日本の3ヵ国を行き来していて体が適応できていなかっただけですよ(笑)」
サンプトソンは、しかしハン監督の期待通りエースらしい活躍を見せた。4試合目の登板だった4月12日のKIA戦でシーズン初勝利を挙げたサンプトソンは、その後黒星より白星が多くなった。前期に9勝を挙げたサンプトソンは後期に産休で一度だけ登板を欠いたが、失速したハンファの連敗を止めながら3勝を追加し、2007年のセドリック・バワーズが打ち立てたハンファの外国人投手最多勝記録(11勝)まで更新した。
もちろん選手自信の努力もあった。時速150キロを超える直球を軽く投げられる能力を持っているが、制球が安定しなかったサンプトソンは、ソン・ジンウ投手コーチのアドバイスを受け入れ、4月からボールを投げる際に右打者の方を向いていた軸足(左足)が捕手の方に向かうよう修正したら制球不安の問題が解決された。普通、メジャーリーグなどを経験した外国人選手たちは自尊心が強く、アドバイスを受け入れないのだが、アドバイスを受け入れたサンプトソンは「韓国型外国人投手」に生まれ変わった。
「不愉快だとか、そう思ったことはないです。軸足の位置を変えてから投げやすくなって、制球も思うように行ったので、自分がやりたい野球ができるようになりました。ありがたく思っています」
奪三振の能力はサンプトソンの最大の武器だ。シーズンの奪三振数は161で、サミー・ソーサ(LG)より7個多いトップだ。9回当たり10.9奪三振のペースは、今シーズンのKBOリーグで100回以上を投げた投手の中では圧倒的な1位だ。決定的な瞬間に次々と三振を奪う投球で「連続三振魔」という異名もついた。しかし、カメラの前で奪三振1位らしい強烈な表情を作ってほしいとお願いしたら、「実戦ではうまくできるんだけど…」と言ってはぼんやりした顔になる、競技場の外ではピュアな男だ。サンプトソンは、「タイトルは欲張っていない。いつも通り、力いっぱいボールを投げて打者と戦うだけだ」と語った。
随分エースの役職に相応しくなったサンプトソンは最近、お父さんになるというダブル祝い事を迎えた。産休を取ったときは赤ちゃんを見れずに帰ってきたが、その後、妻が子供を産んでからは、毎日7回ビデオ通話をしながら息子の姿を見るのが日常になった。赤ちゃんの話には、いつよりも大きく笑う姿は、まぎれもない「親バカ」だった。
金培中 wanted@donga.com