アジアの大祝祭「2018年ジャカルタ・パレンバンアジア大会」が18日、インドネシア・ジャカルタで開幕する。今回の大会は、アジア大会史上初めてジャカルタとパレンバンの2都市で共同開催される。インドネシア・南スマトラ州の首都であるパレンバンは今回初めてだが、首都のジャカルタは1962年のアジア大会以来56年ぶりに再び祭りの主人公になった。しかし、残念なことに今回の大会はジャカルタで開かれる最後のアジア大会になるかもしれない。約30年後にはジャカルタの半分以上が地図上から消える危機にあるためだ。
インドネシア・バンドン工科大学(ITB)のハサヌディン・アビディン教授とハリー・アンドレアス研究員チームは13日、衝撃的な研究結果を発表した。2050年にジャカルタの半分以上が水没し、北ジャカルタは跡形もなく消えるという予測だ。20年間続くジャカルタ地域の地盤沈下と気候変動にともなう海水面の上昇の影響を基に予測した結果だ。アンドレアス研究員はBBCとのインタビューで、「沿岸地域である北ジャカルタ行政区は、年平均25センチ沈んでおり、2050年には全体面積の95%が完全に水没すると予想される」と明らかにした。
インドネシアのジャワ島の北西にあるジャカルタは、面積661.5平方キロメートル、人口1000万人で、東南アジアで最大の都市だ。人口と面積はソウルと似ているが、平均海抜高度は7.92メートルでソウル(38メートル)の5分の1だ。そのうえ、海に隣接し、都市に人工川を含む13の川が流れているため、台風、津波、豪雨などの自然災害に非常に脆弱だ。ジャカルタが雨季のたびに洪水が起こる理由だ。ジャカルタは今年2月にも洪水で4人が死亡するなど、約1万1000人が被害を受けた。
最近では、気候変動の影響で、深刻な豪雨や台風など異常気象がさらに頻繁なうえ、地球温暖化で南極の氷河が溶けて海水量が増え、被害がひどくなった。海水温度が高くなれば、海水の体積も膨張し、海水面が上昇する。
ジャカルタの状況を悪化させる原因は、気候変動だけではない。上下水道の浄化施設の整備にかかる費用を惜しんで無分別に地下水を汲み上げたことが禍となった。地下40~140メートルの深さの帯水層(地中の透水層)から水を汲み上げたために地盤が沈下したのだ。海水面は上昇し地盤は下がるダブルパンチをくらったのだ。
韓国地質資源研究院のコ・ギョンソク地質環境研究本部長は、「沿岸低地帯は地盤が岩盤ではなく土壌堆積層でやわらかいため、土地の堅固な状態を維持する地下水を過度に汲み上げれば、土地が沈んだり崩れ落ちる恐れがある」と説明した。実際、ジャカルタなど東南アジア地域の沿岸都市は土壌堆積層が200~250メートルで、韓国沿岸(5~30メートル)よりも厚い。
米海洋大気庁(NOAA)によると、昨年の世界の海水面は、前年対比0.31センチ上昇した。1993年(年間0.17センチ)以降、最高の上昇幅だが、ジャカルタが水没するスピードはこれより数十倍速い。特に、北ジャカルタの沈下速度は気、候変動に脆弱なツバル、モルディブのような島国やベトナム・ホーチミンなど他の沿岸都市と比べても2倍以上速い。世界で最も早く沈んでいるということだ。アンドレアス研究員は、「北ジャカルタだけでなくジャカルタ全体の地盤沈下のスピードも速く、すでに都市の半分は海水面より低くなっている」と指摘した。
インドネシア政府は、海岸線に2025年までに17の人工島17と32キロの長さの防壁を作る計画だが、一時しのぎにすぎないと専門家たちは指摘する。
長く海に接し、5世紀から東南アジアの主要都市をつなぐ由緒ある港町だった北ジャカルタ。現在もインドネシアの最大港であり第1港のタンジュンプリオクがここにある。北ジャカルタの人口180万人を支える漁業と貿易業、運送業がここで成長した。東南アジア最大都市のジャカルタも、北ジャカルタを中心に成長したといっても過言ではない。しかし、今では一人二人ここから離れている。目の前の便利さだけを追求し、地球の至る所で築いてきた歴史まで海の底に永遠に沈んでしまうのか。
ソン・ギョンウン記者 kyungeun@donga.com