ジャカルタ・パレンバンアジア大会ではどこに行っても日本の報道陣をみかける。2020年に自国で開催される東京五輪を控えているため、取材熱気は普段より熱い。水泳や陸上などは、日本開催の大会かと思わせるほどだ。
ところが、冷たい扱いを受ける種目がある。ほかならぬ野球だ。日本にとって野球は、国技と言われるほどの人気スポーツだ。だが、社会人リーグの選手たちだけで作られた今大会に日本代表には、全く注目が集まらない。予選ラウンドの日本戦も3、4人ほどの取材陣が試合を見守っただけだ。
代表チームも、成績には特に欲を出していない様子だ。当初、日本代表のエースは、時速150キロの剛速球を投げる吉川峻平(パナソニック)だった。ところが吉川は大会直前にメジャーリーグのアリゾナ・ダイヤモンドバックスと事前契約を結んでいたことが発覚し、代表から排除された。日本の、吉川の空席を埋めなかった。韓国と台湾が24人の選手で大会に臨んでいるのに対し、日本は一人少ない23人で戦っている。投手は8人しかいない。
30日午後2時に行われるスーパーラウンド第1戦で日本と対戦する韓国には好材料だ。予選初戦で台湾に1-2で敗れて足元を引っ張られた韓国は、日本戦で2点差以上で勝利し、31日の中国戦で勝てば決勝に進出できる。
しかし、日本の戦力は「予想以上に充実している」というのが現場の評価だ。ジャカルタを訪問したチャン・ソンホKBS解説委員は、「社会人野球の選手とは言え、投手たちはとてもキレの良いボールを投げる。韓国打者たちの打撃感覚が本調子でないのが心配だ」と指摘した。許亀淵(ホ・グヨン)MBC解説委員も、「日本代表の何人かはプロに指名されてもおかしくないレベルだ。戦力面では台湾より一枚上手だ」と評価した。日本はA組で行った予選ラウンド3試合で、徹底的に相手を圧倒した。対戦相手が弱体だったとは言え、56得点に2失点を記録した。3試合は、いずれもコールドゲームで大勝した。
日本の社会人野球は、韓国の同好会野球とはわけが違う。主に大企業が運営するセミプロリーグと言えるほど、レベルが高い。毎年大勢の選手がドラフトを通じてプロ入りする。メジャーリーグで活躍した日本の英雄、野茂英雄氏や中日ドラゴンズの守護神、岩瀬仁紀投手など、社会人リーグを経た選手はいくらでも挙げられる。コロラド・ロッキーズの呉昇桓(オ・スンファン)は、2006年のドーハアジア大会で社会人リーグの長野久義に逆転3点本塁打を浴びたが、長野選手は、それから数年後、読売ジャイアンツに入団した。
幸いなことは、予選を重ねるにつれて韓国打線が調子を上げつつあることだ。1番・イ・ジョンフ(ネクセン)は香港戦で2本塁打を含め12打数7安打(打率.573)を記録し、黄載均(ファン・ジェギュン=KT)も2本塁打を放ち打率.364をマークしている。4番・朴炳鎬(パク・ビョンホ=ネクセン)も香港戦で9回に今大会初本塁打を放った。
韓国はイム・ギヨン(KIA)やチェ・ウォンテ(ネクセン)が先発登板すると予想される。日本はベテランの佐竹功年(トヨタ)かパキスタン戦で4回を投げた岡野祐一郎(東芝)が先発登板するとみられる。
李憲宰 uni@donga.com