米朝交渉の再開、ニューヨークとウィーンで「ツートラック」交渉

トランプ米政権が、９月に開かれた南北首脳会談の平壌（ピョンヤン）共同宣言の翌日、米朝交渉の再開を宣言した。北朝鮮が米国の相応措置を条件に寧辺（ヨンビョン）核施設の永久廃棄をはじめ「追加措置」の意思を明らかにしたことで、米国が米朝関係の転換交渉に着手する意向を明らかにしたのだ。ただし、米国は、北朝鮮が寧辺核施設の廃棄に対する査察を約束したと明らかにし、２０２１年１月までに北朝鮮が「最終的かつ完全に検証された非核化」（ＦＦＶＤ）を完了しなければならないと強調しており、米朝交渉の第２ラウンドも道は険しそうだ。

ポンペオ米国務長官は１９日（現地時間）、声明を出し、「文在寅（ムン・ジェイン）大統領と金正恩（キム・ジョンウン）朝鮮労働党委員長が、米国と国際原子力機関（ＩＡＥＡ）視察団の参観の下、寧辺のすべての施設を永久に廃棄することで合意したことを含め、シンガポール共同声明を再確認したことを歓迎する」と明らかにした。さらに、「米国は、米朝関係の転換に向けた交渉に直ちに参加する準備ができている」とし、「今朝、私のカウンターパートである北朝鮮の李容浩（リ・ヨンホ）外相を来週ニューヨークに招待した。また、近くオーストリア・ウィーンでスティーブン・ビーガン国務省北朝鮮政策特別代表と会うよう北朝鮮側の代表を招待した」と明らかにした。トランプ氏が１１月６日の中間選挙を控える中、ニューヨークとウィーンで同時に「ツートラック」米朝交渉の開催を提案したのだ。

まだ米国は、北朝鮮が寧辺核施設の永久廃棄を条件に掲げた「相応措置」については具体的に言及しなかった。正恩氏が終戦宣言だけでなく「プラスアルファ（＋α）」を要求するという観測が出ている状況で、米朝対話を通じて直接北朝鮮の構想を確認する意図とみえる。

特に、ポンペオ氏が明らかにした「寧辺核施設の廃棄に米国とＩＡＥＡ視察団が参観することを決めた」という内容は、文大統領と正恩氏が合意した平壌共同宣言にはない内容だ。このため、正恩氏が南北首脳会談直前の１６日にトランプ氏に送ったとされる書簡と水面下の接触を通じて、寧辺核施設の査察受け入れの意向を伝えたのではないかという観測が流れている。トランプ氏は前日、共同宣言文が出た１時間後にツイッターに、「北朝鮮が核査察を受け入れた」と明らかにした。

このため、来週ニューヨークでポンペオ氏と李外相が２回目の米朝首脳会談と非核化および相応措置の予定表を議論し、ＩＡＥＡ本部があるウィーンでは、米朝実務代表級会談を通じて寧辺核施設の廃棄に向けた査察方法などを集中的に議論するものとみえる。尹永燦（ユン・ヨンチャン）大統領国民疎通首席秘書官は、「文大統領は平壌から戻ってくるとすぐ米朝対話の仲裁と促進に向けてニューヨーク国連総会に出席にするために出発するだろう」と話した。


ムン・ビョンギ記者　ワシントン＝パク・ジョンフン特派員 weappon@donga.com · sunshade@donga.com