韓国航空宇宙産業(KAI)が、米空軍の高等練習機の事業受注戦で苦杯をなめた。防衛産業不正やスリオン欠陥問題など相次ぐ悪材を払拭する機会だったため、内部的に衝撃が大きい。米国以外の海外市場の開拓にも悪影響が憂慮される。
27日(現地時間)、米空軍は高等練習機(APT)交代事業の優先交渉対象者にボーイング(米国)・サブ(スウェーデン)コンソーシアムを選定したと発表した。米ロッキード・マーティンとのコンソーシアムで入札に参加したKAIは脱落した。今回の入札は、より低い価格を提示した業者が事業を獲得する「最低価落札」方式で行われた。
KAIコンソーシアムは、ロッキード・マーティンと共同開発した超音速高等練習機T-50の改良モデルT-50Aで入札に参加した。ボーイングコンソーシアムはN-381で対抗した。
KAIコンソーシアムは、ボーイングの大胆な低価戦略に押された。KAIは、「ボーイング社の低価格入札による著しい価格差で脱落した」と敗因を指摘した。
米空軍のAPT事業予定価は163億ドル(約18兆ウォン)だったが、ボーイングは92億ドル(約10兆2千億ウォン)を提示した。予定価の半分を少し上回る金額だ。業界関係者は、「KAIコンソーシアムも原価削減など入札価格を下げるために孤軍奮闘したが、ボーイングは他の付随事業など長期的な効果を考慮して低い価格を提示したとみえる」と指摘した。今回の受注は、今後の米海軍の後続機体事業(約33兆ウォン)、第3国の輸出市場開拓(約50兆ウォン)などにも影響を及ぼし、計100兆ウォン規模まで拡大すると予想されている。
11月に予定された米国の中間選挙が影響を及ぼしたという分析も出ている。ボーイングは同日、自社のホームページで、「今回受注した高等練習機は90%以上米国で生産される。米全域34州で1万7千を超える雇用を生み出すだろう」と明らかにした。トランプ米大統領の米国第一主義政策に完全に一致する。
KAIコンソーシアムが受注に成功した場合、胴体など主要部品は韓国で生産し、米サウスカロライナのロッキード・マーティンの工場で最終組み立てをすることになる。
KAIの前・現役員らが法廷に立ったことが否定的な影響を及ぼしたという見方もある。今年6月、米国の主要メディアは、KAIの主要役員が昨年、賄賂授受や横領など防衛産業不正疑惑で起訴されたことを報じた。今回の受注の失敗は、就任1年を迎えたキム・チョウォンKAI社長にも負担になるとみえる。キム社長は、防衛産業分野に経験がない監査院官僚出身なので、任命当時「天下り人事」論議が起きた。
KAIの株価は前日(27日)受注期待感で上昇し1株5万ウォンで終えた。28日には30%急落し、3万5100ウォンで取引を終えた。
李恩澤 nabi@donga.com