「警察がこれでもいいの?」
MBCの月火ドラマ「悪い刑事」で、ウ・テソク(申河均扮)は自分なりの正義を立てるために犯罪までためらわない強力系刑事だ。彼は監禁された被害者を救うために犯人を拷問し、偽の証拠を突きつけながら容疑者を脅迫する。高層手すりにぶら下がって「助けてくれ」と哀願する連鎖殺人魔を蹴落とすことまでする。
もちろん、現実で警察はこれではだめだし、実際そうでもない。しかし、「ダークヒーロー」ウ・テソクの活躍ぶりは、残酷な犯罪ニュースに疲れた視聴者に代理満足の快感を与えるに十分だ。このように「とんでもない」キャラクターに命を吹き込んだのは申河均(シン・ハギュン)の優れた演技力だ。さらに地上波ドラマではなかなか目にできないほど強力な演出が目を引く。終始暗くて乾いており、冷たい色味の画面で埋め尽くされ、暴力描写は大人向け犯罪映画を彷彿させるほどレベルが高い
話題を集めるほどの要素をあまねく備えた「悪い刑事」は、放映第1週から二桁の視聴率(4話は10.6%、ニールセンコリア基準)を記録し、月火ドラマの強者として浮上した。3〜6話を除いて、19歳以上観覧可の判定を受けたドラマという点を勘案すれば、なおさら目立つ成績と言える。
ただ、長所に劣らぬほど限界も明らかだ。連続殺人犯のチャン・ヒョンミン(キム・コンウ)が明らかな死の間際で蘇ることを2度も繰り返す瞬間、その蓋然性は急落した。13年前の殺人事件のために善良だったウ・テソクが「悪い刑事」になったという設定は悪くないが、限りのない偶然の出会いの相次ぐストーリーは、首をかしげたくなる。
これは原作の英ドラマ「刑事ジョン・ルーサー」の設定に、韓国ドラマ流の長い呼吸の物語を強引にかぶせようとして、叙事で力が抜けたとみられる。そのためだろうか。最近の視聴率は、前半よりもやや下落した8%台で推移している。「よくできた」という修飾語を続けるためには、果敢な決断が必要だ。そもそも「韓国ドラマらしくない」という理由で好評を博したドラマではないか。
イ・ジウン記者 easy@donga.com