写真の上に絵を描いてみてはどうだろうが?誰もが一度ぐらいはやってみたような、あるいは子供の頃に実行に移して、両親からこっぴどく叱られたことのある想像である。「写真絵画」の代名詞として派手でありながら、挑発的な想像力を追求するフランスの芸術家デュオ「ピエール・エ・ジル」が、代表作211点を網羅するアジア最大規模の展示を開く。
ピエール・エ・ジルのデュオは、写真家ピエール・コモワ(68)と画家のジル・ブランシャール(65)が、1976年にあるパーティーで出会った時から始まった。二人は、パリのアパート兼スタジオで同居を始め、翌年からアンディ・ウォーホルとサルバドール・ダリ、イヴサンローランなどのアーティストや有名人たちの姿を描いた「しかめっ面」シリーズを発表して名を知らせた。
40年以上にわたって、生活と芸術を一緒にやっている二人の作業方法は、これまで大きく変わらなかった。ピエールが撮影してプリントした肖像写真の上に、ジルが絵を描く。完成した作品のための特別なフレーム(図枠)を作って、絵の上に「立体」という特徴を加える。今回の展示では、これまであまり公開されなかった初期の作品と、二人の指先から誕生した歌手CLとT.O.Pの姿にも会うことができる。
一見すると、二人の肖像作業は、現代のスマートフォンの「写真デコのアプリ」効果を連想させる。色とりどりの花と繰り返すデコ文様が人物を取り囲む。しかし彼らのユニークな美感は、半世紀近い想像力拡大の結果だ。彼らは、世界の美術界に及ぼしてきた影響のほか、朴贊郁(パク・チャヌク)監督の「親切なクムジャさん」のポスターに借用されるなど、大衆文化とファッション界にまで大きな影響を及ぼしている。
一方、二人の作品は、「性少数者としてのアイデンティティ」を抜きにして論じることはできない。ゲイという自分たちの姿を気兼ねなく表わし、時には大胆に、時には秘密めいて濃密に自分のファンタジーを芸術に昇華させる。彼らの作品は、この上なく美しい幻想を醸し出すが、その幻想と彼らが乗り切ってきた現実の世界が異なっていた点で、多くのことを考えさせられる。
二人が14年ぶりに韓国美術ファンの前に姿を現す今回の展示では、ピエールとジルが作業した方法に沿って、観客が直接作品を作る「体験ゾーン」と、二人の作品のスタイルで自分の姿を残す々な「フォトゾーン」などを提供するので、経験の楽しさが大きい。毎週木曜日から日曜日まで午後2時、4時にドーセントプログラムも行われる。
3月17日まで。ソウル市江南区(カンナムグ)のK現代美術館。午前10時〜午後7時。
ユ・ユンジョン記者 gustav@donga.com