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マキャベリの敗戦

Posted January. 29, 2019 09:24,   

Updated January. 29, 2019 09:24

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マキャベリの「君主論」は20世紀でも議論になった本だ。君主論が画期的な統治術を提示した本であるのかどうかは意見が分かれる。米国の著名な哲学者、ウィル・デュラント(1885~1981)は当時すでにマキャベリよりもマキャベリズムをうまく実現するリーダーが数え切れないほど多かったと語った。歴史を見ても、「獅子の心臓と狐の知恵」を備えたリーダーは多い。

マキャベリは、統治者のマントの後ろに隠れていた統治の本性を表舞台に引き出した。「目的が手段を正当化する」という表現は、皆を不快にしたが、統治術の素顔を公論の場に出したことで、逆説的に真の民主主義、正しい手段に対する悩みを促進させたといえる。

意図せずマキャベリが貢献した部分がもう一つある。大衆を扇動する巧妙な論法だ。彼はありのままに全てのことをむき出しにして明らかにする率直で良心的な知性人であるかのように、真摯な思索家であるかのように、歴史と実務経験を兼ね備えた人物であるかのように、自分の論理を説明する。そして、不利な証拠は隠し、歪め、無視する。論理が及ばなければ感性に訴える。

傭兵戦争が盛んだった時代、彼はフィレンツェに欧州初の皆兵制(すべての国民が兵役義務を負う制度)を導入した。金ではなく家族のために戦う市民軍のほうがより強いという理由だった。しかし、スペイン軍が侵攻すると、市民軍は逃げた。正しい試みも失敗し得る。結果だけで判断するのはやめよう。しかし戦術論で彼が掲げた論理は、マキャベリ式牽強付会の典型だった。ローマ軍を利用して市民軍を擁護し、将校と専門軍人の役割を縮小した。ローマ軍の隠された秘訣が専門性であったのにだ。先端の進歩的な人物のようなふりをし、戦場の女王になる大砲の可能性は縮小した。さらに16世紀の傭兵の代表であるスイスの傭兵は市民軍に分類した。この基準によると、市民軍でない軍隊はない。

マキャベリ式論法に知識人も首肯する。もっと優れた知識人は彼の方法を使ってベストセラー作家になる。マキャベリは偉大な先覚者だった。



李恩澤 nabi@donga.com