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27歳館長の眼識

Posted February. 14, 2019 08:33,   

Updated February. 14, 2019 08:33

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美術館のレベルは、コレクションの質によって左右される。1929年、コレクション一つなく賃貸建物で始まったニューヨーク近代美術館(モマ)が世界最高の現代美術館へと成長できた背景には、数多くの寄贈者とスポンサーがいることもあるが、価値ある作品を見抜いて収集し、確固たるコレクションを構築した初代館長アルフレッド・バーの功績が何より大きい。

美術史で最初のキュービズム作品という評価を受ける「アヴィニョンの娘たち」は、モマの存在感を1段と高めた代表コレクションだ。パブロ・ピカソが25歳の時に描いたこの絵の中には、5人のヌード女性が登場する。彼女たちは、バルセロナ歓楽街の売春婦だ。右の女性がかぶったマスクは、当時のアフリカ原始美術への作家の関心を反映する。画面の前面にある果物は、「ヴァニタス」、すなわちはかなさを象徴する。肉体的快楽は一瞬であり、時間が経てば、肉体も果物のように腐ってなくなるという点を思い起こさせる。

ピカソは、対象をリアルに再現するという絵画の長い伝統を果敢に捨て、複数の視点から見た対象を一つの画面の中に組み合わせた全く新しい芸術形式を誕生させた。しかし、当時は理解されないあまりにも衝撃的な絵だったため、作業室の片隅に数年間隠されていた。1916年、パリの「サロン・ドートンヌ」展で初めて公開された絵は、個人コレクターの手に渡った後、1937年、ニューヨークでも展示された。この絵の美術史的価値を誰よりも先に見抜いたのは、ほかならぬバー館長だった。当時、モマの都合では買えない高価な絵だったが、彼は決してあきらめなかった。既存のコレクションであるエドガー・ドガの絵を果敢に売却し、スポンサーを説得して用意した財源を加えて、いよいよ2年後にモマのコレクションにした。若い美術史学者で、27歳に初代館長になったバーは、斬新で有能な館長を望んだモマの設立者たちが直接インタビューして選んだ人物だった。優れた眼識と収集の情熱、大胆な実行力と後援を引き出す能力までを備えた彼は、40年近くモマを導き、65歳で引退した。