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限界に突き当たった「仲裁者」論は取り下げ、北朝鮮の非核化を導く当事者役に集中せよ

限界に突き当たった「仲裁者」論は取り下げ、北朝鮮の非核化を導く当事者役に集中せよ

Posted March. 18, 2019 08:34,   

Updated March. 18, 2019 08:34

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北朝鮮の崔善姫(チェ・ソンヒ)外務次官は15日、記者会見で、「南朝鮮(大韓民国)は米国の同盟なので『プレーヤー』であり、『仲裁者』ではない」と述べた。仲裁者を自認してきた韓国政府に対する不満を表したのだ。米国との意見の相違が提起されても、米朝間の仲裁者を自任し、南北経済協力の拡大を推進してきた韓国政府としては、どうすることもできない苦しい立場になった。

文在寅(ムン・ジェイン)政府はこれまで、南北関係改善をテコに、膠着状態に陥った米朝対話を引き出すという仲裁者役を自認してきた。しかし、主に制裁解除と南北経済協力の拡大など北朝鮮の要求事項に偏り、公平性問題が提起されてきた。ハノイ会談決裂後、トランプ米大統領は完全な非核化がなければ制裁解除はないと繰り返し明らかにしにもかかわらず、文大統領が金剛山(クムガンサン)観光、開城(ケソン)工業団地の再開案を米国と協議するとし、歩調を合わさなかったことが代表的だ。さらに文大統領の周囲の人々がハノイ会談の決裂を米国の責任とし、米国とは関係なく独自の道を行くと公言しているため、韓米間の不協和音に対する憂慮は大きくなっている。米国では、韓国が公正な仲裁者ではなく北朝鮮を庇護しているという指摘が出ている。

現政権の仲裁者論の根源は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権での北東アジア均衡者論だ。韓国が韓半島をめぐる列強の均衡者の役割をするという北東アジア均衡者論は、均衡者の役割をするには列強が無視できないレベルの軍事力と経済力を備えなければならないという基本前提を忘却し、失敗に終わった。運転者であれ仲裁者や促進者であれ、言葉だけでできるものではない。交渉のヤマ場で影響力を行使できる堅固な国力の裏付けがない仲裁者役は虚像にすぎない。

韓国は、北朝鮮の核とミサイルを頭上にのせて暮らさなければならない核脅威の第一の当事者だ。このような現実では米朝非核化交渉に口を挟む仲裁者役だけすれば良いという発想自体が幻想だった。ハノイ会談決裂後、北朝鮮が再びミサイル発射示威に出ると警告する危機局面が到来した。新たな状況では、粗雑な仲裁者ではなく堅固な韓米同盟に基づいて非核化交渉の当事者として積極的に臨まなければならない。私たちの未来を米国や北朝鮮に任せることはできない。