A4用紙4枚の「ロシア疑惑」報告書の要約が米政界の悲喜を一瞬にして変えた。ロバート・モラー特別検察官チームが、2016年の大統領選当時のトランプ陣営とロシア側の共謀疑惑およびトランプ大統領の司法妨害疑惑を明確に立証できずに捜査を終えると、トランプ氏と共和党は「応戦特検」を掲げ、大々的な反撃に出た。
民主党は、ウィリアム・バー米司法相にはやく報告書の原本を提出するよう要求しているが、「プランB」がないため右往左往している。
これまでモラー氏に対して「悪党」と非難し、数回にわたって解任しようとしたトランプ氏は25日、180度急変し、「すばらしく行動した」と初めて賛辞を送った。そして、「非常に邪悪なこと、非常に悪いことをした人々があの外にいる。『反逆的』行動をした人々に対して捜査が行われなければならない」と主張した。「人々」が誰か具体的に指摘しなかったが、特検捜査を求めた民主党議員と捜査に協力して自分を裏切った一部の側近、これを扱ったメディアまでを指すとみえる。
大統領の最側近で上院法司委員会を率いるリンジー・グラハム委員長は同日、記者会見を要望し、「今や特検捜査の対象はヒラリー・クリントン陣営にならなければならない」と攻撃した。大統領選でクリントン陣営はトランプ候補の民主党メールハッキング疑惑を提起したいわゆる「トランプXファイル」を作成し、これを根拠に特検捜査が行われた。
AP通信は同日、「意気揚揚としたトランプ氏にとって戦いは終わりではなく始まりだ」と強調した。トランプ氏の参謀と選挙陣営が捜査結果を政治的機会に活用する次期大統領選の戦略まで立てているということだ。トランプ氏が政治的犠牲になったことを強調し、伝統的支持層だけでなく無所属や民主党の中道支持層まで呼び込むというのが戦略の核心だ。
一方、特検捜査を「援護」し、捜査結果が出るのを待っていた民主党は、完全に「飼い犬に手をかまれた」格好になった。米紙ワシントン・ポストは、「反トランプ戦線をつくるという民主党の計算が狂ってしまった。民主党は完全に別の政治的現実に向き合わなければならない状況だ」と伝えた。
民主党が切実に望む報告書の原本提出も遅々として進まない。下院では「即時提出」決議案が通過されたが、上院では優勢な共和党のミッチ・マコーネル院内総務が採決そのものを否決した。ナンシー・ペロシ下院議長はバー氏に、4月2日までに提出するようデッドラインを提示したが、バー氏がこれに応じる義務はない。
予想を覆す捜査結果を出した当事者であるモラー氏は24日、ワシントンのホワイトハウスの向いにある聖ヨハネ聖公会教会の礼拝に参加した。3日ぶりに姿を現わしたモラー氏を一目見ようと野次馬が集まり、付近の交通がマヒするほどだったが、モラー氏は捜査結果について何も話さなかった。
鄭美京 mickey@donga.com