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ナンバー1のようなナンバー2のチェイニー氏を通じて見た米政治の素顔

ナンバー1のようなナンバー2のチェイニー氏を通じて見た米政治の素顔

Posted April. 01, 2019 08:48,   

Updated April. 02, 2019 09:12

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「副大統領はかかしだよ。大統領が死ぬことだけを待つ席じゃないか」

米元副大統領のディック・チェイニー(クリスチャン・ベイル)の妻、リン・チェイニー(エイミー・アダムス)の言葉のように、我々は皆そう考えていた。しかし、映画「バイス」を見れば、その考えが変わるだろう。 「バイス」は大統領より強力な権力を持っていた副大統領ディック・チェイニーの一代記を描いている。

アダム・マッケイ監督は、前作「マネー・ショート華麗なる大逆転」(2016)で、2008年世界を揺るがした金融危機の裏話を描いて、米経済の虚像を暴露した。「マネー・ショート華麗なる大逆転」が米金融業界が実は巨大なバブルであることを一本の詐欺劇を見ているように表現したなら、「バイス」はチェイニー個人の一代記を通じて、米政治の中心地の恥ずかしい素顔を描いた。世の中が混乱した時にチャンスをうかがう幽霊のような人物として描かれているチェイニーと、彼の力についた実力者たちが、平凡な人たちの生活を覆すほどの巨大な決定を何気なく下す過程が、一本のブラックコメディとして描写された。

チェイニーと彼の側近らは、金持ちの税金を減らし、石油財閥と結託するだけでなく、憲法と国際条約を無視して、9・11テロへの報復措置としてイラク侵攻に踏み切る。当時の国務長官であるコリン・パウエル、国防長官のドナルド・ラムズフェルド、国家安全保障補佐官のライスのようなそうそうたる人物たちも「何か間違っている」ことを知りながら、チェイニーの低くて断固たる声に、かかしのように無気力な姿を見せるのが印象的だ。

風刺とユーモアは、監督の前作よりはるかに大胆になった。チェイニーが副大統領職を受諾し、ジョージ・W・ブッシュ(サム・ロックウェル)と談判するシーンは、ワイオミングで釣りを楽しんでいた自然人チェイニーの姿と交差され、チェイニーが投げる餌をがぶりと食いつくブッシュを、なおさら馬鹿のように見せる。歴史には仮定がないと言われているが、「もし、チェイニーが同性愛者の娘のために政界を引退していれば」という質問に答えるように、この映画の途中に和やかな音楽と一緒にエンディング字幕が上がったりする。

チェイニー役のために20キロを太らせ、5時間以上も扮装に耐えたベイルとアダムスとの間の演技の阿吽の呼吸が一品だ。11日に公開。 ★★★(5つ星満点)


李?? baltika7@donga.com