強力は一本のシュートで巨艦を沈めた孫興民(ソン・フンミン=27、トッテナム・ホットスパー)は約6万の観客が歓声をあげる中、テレビ中継カメラに向かって声高に「You know what?(ちょっと聞いてよ)」と叫んだ。チームが苦戦している極限状況だが、どんな状況も覆せるという気迫を見せたものだ。
孫興民が欧州王座を争う2018~2019欧州チャンピオンズリーグ(CL)準々決勝第1戦でチームを勝利に導いた。トッテナムは10日、ロンドンのトッテナムホットスパ-・スタジアムで行われたマンチェスター・シティとの欧州CL準々決勝第1戦で1-0で勝利した。
マンCのオーナーで石油財閥のマンスール・ビン・ザイード・アル・ナヒーヤン氏(48=アラブ首長国連邦)は数年間、クラブに2兆ウォン以上をつぎ込み、アグエロ、ダビド・シルバら超豪華メンバーを揃えた。昨季のEPL優勝を果たしたマンCは、今季も優勝を目指す強豪だ。欧州CL優勝候補に挙げられるのはもちろんのことで、今季に4冠達成(欧州CL、EPL、FAカップ、リーグカップ)を目指している。監督は、スペインリーグでリオネル・メッシとともにFCバルセロナの全盛期をおう歌したペップ・グアルディオア氏(48)だ。
マンCを迎えたトッテナムは59%の支配率を許すなど苦戦を強いられた。とくに後半13分、主砲ハリー・ケイン(今季24得点)が足首をケガして交代で下がる不利な状況となった。しかし孫興民は、これらの不利な状況を覆した。後半33分、トッテナムのクリスティアン・エリクセンが枠内の右サイドから切り込む孫興民に浮き球スルーパスを出した。ボールがゴールラインを割る直前に止めた孫興民は、枠内の中央に向かってドリブルをしては強力な左足シュートでゴールを決めた。
熱狂的な歓声と衝撃を与えたゴールだった。孫興民を試合MVPに選定した英国のスカイスポーツは、「最も大きな影響力を発揮した孫興民はビッグゲームプレイヤー」と絶賛した。英国のネットメディア「アイニュース」は、「危機的瞬間に静かな暗殺者のように現れた孫興民のゴールがマンCを崩した」と報じた。
4日、クリスタル・パレスとのEPLリーグ戦でトッテナム・ホットスパースタジアムの開場初得点を挙げた孫興民は、この日新球場初となる欧州CL得点まで記録し、「ヒストリーメイカー(History maker)の名声を上げ続けた。孫興民は、「新球場でもう一度特別なゴールを決められて嬉しい。勝利したとは言え、まだ第2戦が残っている。準備をして(第2戦では)もっと強く戦う」と話した。
両チームの第2戦は18日、マンCの本拠地マンチェスターで行われる。第1戦の勝利で準決勝進出に王手をかけたトッテナムだが、主力FWケインの負傷は手痛い。マウリシオ・ポチェッティーノ監督は、「ケインが過去にもケガシタことがある部位(左足首)をまた負傷した。精密検査をしてみないと分からないが、我々は残りシーズンをケイン無しで戦わなければならないかもしれない」と話した。
鄭允喆 trigger@donga.com