「秘密のコードがあると聞いたでしょう/ダビデが演奏して神を喜ばせたという/しかしあなた、音楽はあまり好きじゃないでしょう。違う?」(レナード・コーエンの「Hallelujah」より)
しばらく前からKにギターを教え始めている。生活の中で「コード」という言葉をこのようにたくさん使うようになったのは久しぶりのことだ。多くは1時間に30回は使うような気がする。簡単に言えば、ハーモニーとしてギターの初心者に「コード」は苦痛の呪縛だ。
「さあ、Cコードから始めてAmに行こう。そしてEm…。ああ、指がそっちの方に行っちゃだめでしょう」
圧巻は「F」だ。たった一本の指でギターの6つの弦を全部力をこめて押すFは、遊撃訓練に例えれば「PT(体操)実施!」と同じくらいきつい言葉と言える。
「C長調で1度、4度、5度はC、F、Gコード」と話す途中、ふとこの歌が思い出された。原曲はレナード・コーエン。夭折したシンガーソングライター、ジェフ・バックリィ(1966~1997・写真)のバージョンがより有名な曲「Hallelujah」だ。
歌は「秘密のコード」の話で始まる。驚くべきことに、本当にコードの話が続く。
「そのコードは、こんなふうだと言ったでしょう/4度、5度。そしてマイナーに落ちてからメジャーに上がる/当惑した王はハレルヤを作曲したの」
この曲の調性はC長調だ。歌詞でそれぞれ「4度」「5度」「マイナー」「メジャー」を言及するとき、実際にギターはそれにぴったり合うハーモニー、すなわち「F」「G」「Aマイナー」「Fメジャー」に移行する。この部分がこの歌の隠れた宝物であり、圧巻だ。
ダビデ、サムソン、デリラなどの聖書の中の人物とエピソードが登場するが、歌は一次元的な宗教賛美曲ではない。1984年に発表後、最近ナ・ユンソンまで、数多くの歌手が再解釈した背景には、取れそうで取れない、大変比喩的メッセージがある。
同じC長調として「Hallelujah」と似たコードで作られた曲は多い。英国のバンド・オアシスの「Do Not Look Back in Anger」もそうだ。「Do not Look…」では、「E7」コードが少し登場する部分が「Fm」よりも暗く、歌の最も陰湿なコーナーをスケッチする。
「Hallelujah」でも、ほかならぬ「E7」が似たような役割をする。そのコードの背景色の上に打ち上げた歌詞の花火は、ここは「壊れた(broken)」だ。
「愛とは勝利の凱旋行進ではない/それは冷たい、壊れたハレルヤ…」
イム・ヒユン記者 imi@donga.com