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春に訪れた「冬の旅人」

Posted May. 10, 2019 08:47,   

Updated May. 10, 2019 08:47

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シューベルト3大歌曲集「冬の旅人」「美しき水車小屋の娘」「白鳥の歌」の完奏。英テノール・イアン・ボストリッジ(55)が10日と12日、14日にソウル芸術の殿堂IBKチャンバーホールで披露する大作業だ。現存する最高のドイツ歌曲の解釈者と呼ばれるボストリッジは、オックスフォード大学で博士号を取った歴史学者であり、彼の本「シューベルトの冬の旅人」は韓国語を含めて世界13の言語に翻訳出版された。音楽コラムニストのノ・スンリム氏(英ウォーリック大学文化政策学博士)と一緒にボストリッジに会って、シューベルトの3大歌曲集について話を交わした。

――以前のインタビューで、「冬の旅人は陰鬱な歌とは言えない」と話しました。「美しき水車小屋の娘」や「白鳥の歌」においても、私たちが見逃しがちな部分はないでしょうか。

「『冬の旅人』には喜びと落ち込み、不幸、幸せの記憶が複合的に含まれています。深く沈んだが、再び歓喜を思い浮かべるなど、極端な感情が交錯しています。『美しき…』のプロットは、1820年代の『ジェスチャー遊び』に基づいています。ジェスチャーを見て、それが表す人物や言葉を当てる遊びでしょう。この歌曲集で、主人公たちはこのような見せかけとジェスチャーを繰り広げます。水車小屋の娘はナイーブでない主人公です」

――シューベルトはオペラ作曲家を夢見ましたが、金銭的問題で多くの作品を書くことができなかったそうです。彼の歌曲集は、自分が書けなかったオペラの代わりだと見ることができるでしょうか(ノ・スンリム)

「シューベルトがそのような狙いを隠したかもしれません。しかし、これらの曲は、『オペラとは異なる方法で』劇的だと思います。シューベルトはオペラとリートの形式を明確に区分しました」

――あなたは、この曲は本来テノールのために作曲された作品だと言及したことがあります。しかし、シューベルトの生前これらの曲を初演したポクルは、音域がバリトンだったんです。

「『冬の旅人』の場合は、二、三曲が高いA(イ)音まで上がるなど、とても高い音がよく登場します。ポクルが初演する時も、音域を下げて歌ったに違いありません」

――あなたの最初の「美しき…」アルバムは、解釈がかなり単純な方でした。その後解釈が変わったことは興味深い。(ノ・スンリム)

「アルバムとは、公演と違って、聴衆の反応と交感しながらすべてのことを示すことができないという限界があります。美的側面に気を使いながら、極めてごく一部だけを見せたような気がします」

――「冬の旅人」の最後の曲「街の楽士」では、ボブ・ディランのように声を傷付ける唱法など、独創的な試みを行うことができると本に書いている。今回の公演でも、独創的な試みを期待できますか。

「前にもアルバムと実際の演奏との違いについて話していたが、この問題は、公演当日の聴衆と私の気持ち、雰囲気にかかっているような気がします(笑)」

今回の公演は、秋に本公演が行われるソウル国際音楽祭の春のプログラムとして企画された。10日(「冬の旅人」)、12日(「美しき…」)、14日(「白鳥の歌」)が午後8時に行われる。ピアノはジュリアス・ドレイク。9万〜12万ウォン。お問い合わせは02-580-1300まで。


ユ・ユンジョン記者 gustav@donga.com