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笑みの正体

Posted May. 16, 2019 07:50,   

Updated May. 16, 2019 07:50

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笑みは一種の幸せウイルスだ。笑顔が相手を笑わせるように、絵の中で笑っている二人の女性も観覧客を幸せにする。窓枠にもたれて、片手で頬杖をついている女性は、笑みいっぱいの顔で窓の外を見ており、横に立っている女性は、ショールで口を隠したまま、漏れてくる笑いを努めて我慢している。彼女たちはいったい誰であり、何を見てこのように笑うのだろうか。

この絵を描いたバルトロメ・エステバン・ムリーリョは、17世紀、スペインのセビリアで最も成功した画家だった。彼は宗教画で高い名声を手にしたが、庶民の日常生活を描いた風俗画も、複数残した。そのうち、物もらいの少年の肖像とこの絵が代表作だ。画面の中の女性たちは、スペイン・上流層の少女とシャペロン(上流層の未婚女性の世話をする女性)を連想させる。後ろに退いて笑いを我慢しているシャペロンとは違って、しっかりしている少女は、窓の外に笑顔を送っている。

若くてハンサムな青年が、色目を投げながら家の前を通っているのだろうか。競争関係にある二人の青年が同時に訪ねてきて、愛の告白でもするのだろうか。実は彼女たちが誰で、なぜ笑っているのか知ることなどできない。確かなのはムリーリョが17世紀、イタリアとオランダの美術を組み合わせて、このようなユニークで魅力的な画面を完成したということだ。画家は、光が当てられた人物を強調するために、室内背景を完全に暗く処理したが、これはイタリア・バロック美術の巨匠カラヴァッジョの影響だ。窓際の人物構図は、スペイン美術にはなかったもので、オランダの風俗画から取り寄せたのだ。彼の顧客の中にはフランドル(現在のベルギー)から来た裕福な商人が多かったので、顧客のために、このような浮世絵を描いたものと推測される。

それなら、少女は経済的に豊かなオランダ商人の娘だったのか。19世紀には売春婦として解釈されることもあったし、最近では画家が作り出した想像の中の人物という主張もある。でもどうだっていいではないか。少女の笑顔が、厳しい今日を生きる私たちも、しばらく笑わせるのではないか。多分彼女たちは幸せで笑うのではなく、笑っているために幸せそうに見えるのかもしれない。

美術評論家