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浮気を描いた画家

Posted May. 23, 2019 08:32,   

Updated May. 23, 2019 08:32

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配偶者の浮気は、結婚した人が体験する最も破壊的で苦痛な経験だが、古今東西を問わず文学やドラマ、映画だけでなく美術にも絶えず登場するよく使われる素材だ。

18世紀のフランスの画家、ジャン・オノレ・フラゴナールの絵も、パリ貴族層の浮気の場面を描いている。森の中で、若い婦人がブランコに乗り、茂みに隠れた婦人の若い愛人は、地面に横たわり、婦人を見上げている。婦人のめくれたスカートに向かって伸ばしたこの男の手と空中に放り出された婦人のミュールは、二人の性的行為を暗示する。初老の夫は気づくそぶりもなく、楽しく婦人のブランコを押している。左端のキューピットの彫像は浮気の秘密を守ろうとするかのように指を口にあてるポーズを取り、中央の天使たちも彼らを止める考えはなさそうだ。貞節を象徴する白い犬だけが夫の前で不倫を警告するかのように吠えているが、誰も気づかない。

この絵は、宮廷官僚だったサン=ジュリアン男爵が依頼したもので、不倫カップルのモデルはまさに自分とその婦人だ。男爵は、司教がブランコを押す設定で別の画家に依頼したが、その画家が危険なテーマに驚いて断り、若いフラゴナールが引き受けることになった。賢いフラゴナールは、依頼を受け入れる代わりに、司教を婦人の夫に変更して描いた。

快楽主義と官能美、軽快さまで備えたこの絵は、ルイ15世や公妾のポンパドゥール夫人、貴族層を魅了し、画家は当時流行したロココ美術運動の中心人物になった。

しかし、フランス革命を経て、彼の絵は時代遅れの低級美術と見なされた。後援者が断頭台の露と消えると、画家も貧困に苦しみ、みじめに生を終え、彼の名前も歴史の中に消えていった。不道徳な権力者の嗜好に才能を捧げた画家の最後は、もしかすると配偶者の浮気よりも苦痛だったかもしれない。