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シンガポールから1年、「南北だけの外交」では覇権競争の波は越えられない

シンガポールから1年、「南北だけの外交」では覇権競争の波は越えられない

Posted June. 11, 2019 08:40,   

Updated June. 11, 2019 08:40

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北欧3ヵ国を歴訪中の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が12日、ノルウェーのオスロ大学で開かれる講演で新たな韓半島平和ビジョンを提示すると、大統領府は予告した。昨年6月12日に米朝シンガポール首脳会談が開催されてちょうど1年になる日だ。

シンガポール共同声明は、新たな米朝関係と韓半島平和体制、完全な非核化という大枠の合意を含んだ。しかし、原則的・宣言的な文言のほかには何もなかった。このため、北朝鮮が自分たちの義務事項である非核化をまるで駆け引きの担保のように考え、米朝交渉はジェットコースターに乗るように危うくなり、2月のハノイでの米朝首脳会談決裂後、米朝は事実上、原点に戻った。

文氏は北朝鮮が相次いでミサイル挑発を行った2017年7月、ドイツで「ベルリン宣言」を表明したように、今回の「オスロ宣言」を通じて、米朝対話を復活させるための大胆な提案を出すものとみられる。特に、今月末のトランプ大統領の訪韓に先立ち、南北首脳会談や特使派遣を通じて具体的な成果を出すことを望んでいる。しかし、北朝鮮は冷淡だ。そのため、文氏はオスロ演説が北朝鮮説得の契機になることを望むだろう。

しかし、文政府が「成功神話」と自評するベルリン宣言も振り返ると、当時としては文字通り「宣言」だったにすぎない。ベルリン宣言後、北朝鮮はむしろより大きな挑発で韓半島を一触即発の危機に追い込み、年が変わって平昌(ピョンチャン)五輪の参加で南北対話に応じた。当時、北朝鮮の態度変化を引き出した最大の力は、堅固に構築された国際社会の対北朝鮮制裁だったということは、文政府が今後出す解決法にも反映されなければならない。

今や時間は北朝鮮の側でも米側でもない。経済破綻と食糧難はますます金正恩(キム・ジョンウン)政権の首を絞めている。米国に向かって「新しい計算方法を持ってこい」と苛立ちも表わしている。トランプ氏も、来年11月の大統領選まで北朝鮮核問題の不確実性を抱えていくには負担が大きいため、ただ放置することはないだろう。しかし、南北関係を前面に出した構想だけで米朝対話を促進することができるのかは疑問だ

韓国外交は、米中間の覇権競争の中、戦略的選択を強要される状況にある。北朝鮮の核問題は、米国の対外政策の優先順位から押し出され、韓半島は求心力よりも遠心力に引きずられるほかない状況だ。韓国が北朝鮮にだけ見解を固定し、周辺国の外交に目を閉じては、孤立するほかない。覇権競争は、新たな世界秩序、新たな北東アジア秩序を強いる。そのような状況では「南北だけ」ではいかなる問題も解決できないだろう。