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トランプ氏の訪韓、非核化の進展より「興味深いショー」に流れてはならない

トランプ氏の訪韓、非核化の進展より「興味深いショー」に流れてはならない

Posted June. 25, 2019 08:24,   

Updated June. 25, 2019 08:24

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トランプ米大統領の29~30日の訪韓で、非武装地帯(DMZ)の訪問が推進されているという。一昨年11月の初めての訪韓の時も推進したが、天候の問題で実現しなかったため、今回は成功の可能性が高そうだ。米紙ワシントン・ポストは、トランプ氏が南北の境界地帯で金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と会う可能性も提起した。これについて大統領府側は「分からない」としている。

北朝鮮のトランプ氏の親書公開は、非核化の対話再開への期待を高めた。正恩氏は、親書の内容に満足を示し、「興味深い内容を慎重に考える」と述べた。ポンペオ米国務長官もこのような北朝鮮の反応に、「(米朝実務交渉再開の)可能性はかなり高い」とし、「私たちはいつでもすぐに始める準備ができている」と述べた。トランプ氏の訪韓を控え、もどかしい膠着局面に突破口が見出されるムードであることは明らかなようだ。

韓国政府は、トランプ氏の訪韓前に南北首脳会談を開催する可能性を依然として開いており、北朝鮮の反応を待っている。先週、北朝鮮へのコメ支援カードまで出したのも、このようなムードと無関係ではないだろう。希望としては、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が先に板門店(パンムンジョム)で正恩氏に会った後、主要20ヵ国・地域(G20)首脳会議で、中国の習近平国家主席の訪朝結果を聞いたトランプ氏と共に、非核化の流れをつくるという構想だろう。そこにある種のDMZイベントで、局面を転換する絵を描いているのかも知れない。

トランプ氏は、一昨年に訪韓した際、国会演説を通じて、北朝鮮の残酷な独裁体制と人権侵害を告発し、「米国を過小評価してはならない」と強い警告メッセージを出した。北朝鮮の核・ミサイル挑発で戦争危機説が流れていた当時とは雰囲気は全く異なるが、韓半島の状況は大きく変わっていない。非核化は少しの進展もなく、正恩氏の態度変化の兆しもない。正恩氏はむしろ習氏の訪朝後、堅固な後ろ盾を得たかのように得意満々だ。

トランプ氏のDMZ訪問とそこで出す北朝鮮へのメッセージは重要な転機になり得る。むろん、水面下で展開した外交的努力を整えられたメッセージで公開するイベントも必要だ。しかし、実質的進展の裏付けがなければ、ショーにすぎないことが露呈するのは一瞬のことだ。興味深いイベントで劇的な場面の演出を期待するよりも、韓米首脳間の実質的対話、さらには米朝間の実務交渉から冷静に行うことこそが、真の外交の成功の可能性を高めるだろう。