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米中対決による世界秩序の激変に「先送りして避ける外交」ではダメだ

米中対決による世界秩序の激変に「先送りして避ける外交」ではダメだ

Posted June. 29, 2019 09:16,   

Updated June. 29, 2019 09:16

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文在寅(ムン・ジェイン)大統領は昨日、日本大阪で開催された主要20カ国(G20)の首脳会議で、「貿易紛争で、世界経済が縮小均衡に向かって突っ走る『囚人のジレンマ』の状況から脱しなければならない」と述べた。自分の利益だけを追求すれば、結局、自分と相手の両方に不利な結果を生むというゲーム理論になぞらえて貿易戦争を繰り広げる米国と中国に向けて、大妥協を促したもののだ。文大統領は一昨日、習近平中国国家主席と会談し「どちらかの国を選ばなければならない状況に至らないことを願う」と述べた。

文大統領の発言は、私たちの同盟国である米国と最大市場である中国双方に向けた原則論的なアピールだろうが、米中貿易・技術戦争の間で選択を迫られる私たちの苦しい立場を表れている。今回のG20首脳会議は、一方主義と保護貿易を掲げて自国の利益を最大化しようとする米国と、多国間主義と自由貿易を掲げて牽制しようとする中国との対決の場になった。そのような状況下で、韓国はどうすることもできず、しばらく選択を見合わせた状態で見守るという姿勢だ。

今の米中対立は、単なる貿易・技術をめぐる対決ではなく、今後の世界秩序の主導権をめぐる死活を賭けた覇権争いなのだ。今日の米中首脳間の交渉で休戦か決戦かは決まるだろうが、休戦に同意しても、双方の戦略競争は衰えないだろう。今の貿易・技術の葛藤は、近いうちにサイバー、バイオ、宇宙、さらには軍事安保領域まで全方位につながる覇権争いの開始局面に過ぎない。

今、私たちとしては、下手に片方の肩を持つことはできないだろうが、ひたすら手放しで待つほど暇ではない。文大統領が昨日「囚人のジレンマ」を取り上げて、米中間の妥協を促したが、いざその間に挟まっている私たちのジレンマを解消する対策はあるのか疑問だ。米中対立の最中、そのとばっちりを受ける立場にならないためには、長期的な国家戦略の下で先手を打つ外交で対応しなければならない。しかし、むしろ、私たちの外交はひたすら竦めながら周辺に追いやられている。

ただちにG20外交舞台で韓米日の連携が、米日インドの構図に取って代わった様相だ。主催国で隣国の日本は、韓国をこれ見よがしに冷遇している。いざ、韓国政府が力を入れてきた北朝鮮の核外交では、韓米間の意見の相違と北朝鮮の無視を招いた。このすべてが、仲裁役を自任しながら、成すべき選択は先送りするか避けながら、重心を失ったためだろう。韓国外交の土台である韓米同盟を堅固に固めながら、積極的な姿勢で外交領域を広げていかなければならない。