セリーナ・ウィリアムズ(38=米国、11位)が返したボールがネットに引っ掛かると、シモナ・ハレプ(28=ルーマニア、7位)はコートに跪いて両手を天に突き上げた。ハレプはウィリアムズと一度ハグをした後、再びコートにうつ伏せになって号泣した。ハレプが「女帝」ウィリアムズを下してウィンブルドン選手権2019の最初の優勝を飾る瞬間だった。
ハレプは13日、ロンドンのオールイングランドクラブで行われた女子シングルス決勝でウィリアムズを56分で2-0(6-2、6-2)の完勝を収めた。試合後にハレプは、「私のテニス人生で最高の試合だった。最後のポイントを取る瞬間足に力が入らなくなった」と喜びを語った。ハレプはトロフィーとともに優勝賞金235万ポンド(約34億7000万ウォン)を獲得した。
ハレプとウィリアムズの決勝が決まった時点でハレプの優勝を占う人は多くなかった。2017年に世界ランキング1位なった上、昨年の全仏オープンで四大大会での初優勝を果たしたハレプだが、相手の「女帝」と呼ばれるウィリアムズだ。ウィンブルドンだけで7度優勝のウィリアムズは、四大大会シングルスで23度優勝し、マーガレット・コート(豪州)の最多優勝記録(24勝)を追い上げている。ハレプは、この日の試合開始までのウィリアムズとの対戦成績は1勝9敗と圧倒的に劣勢だった。
ハレプの巧みなプレーが番狂わせを引き起こした。素早いフットワークを生かしたハレプは、序盤から深いアングルショットを何度も決め、試合開始11分で4-0までリードを広げた。その後もリードを守り、第1セットを26分で奪ったハレプは、第2セットではゲームスコア2-2で並んだ状況で、ウィリアムズのサーブゲームを獲得し、勝機をつかんだ。
168センチとテニス選手にしては低身長のハレプだが、この日のサーブの最高速度は173キロだった。175センチのウィリアムズは189キロを記録し、依然として強いパワーを見せつけた。四大大会のうち唯一芝のコートで行われる大会であるウィンブルドンは、サーブが強い選手に有利だ。芝は表面が滑らかでバウンドしたボールの減速が少ないからだ。しかしハレプはミスを3本に抑える安定したプレーを続け、凡ミス26本で自滅したウィリアムズを粉砕した。
ハレプは、「ルーマニアには芝のコートがない。芝の上でウィリアムズを相手するのは容易なことではない。ウィリアムズは流れを掴むととても止められない選手なので、序盤から隙を与えまいと努めた」と話した。
チョ・ウンヒョン記者 yesbro@donga.com