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子供の小石

Posted August. 28, 2019 08:18,   

Updated August. 28, 2019 08:18

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若い母親がいた。その時代は、鞭を減らせば子供が台無しになると思われていた時代だった。ある日、その母親は、息子がいたずらをすると、鞭で厳しくしつけなければならないと思った。初めてだった。ところが、家の中には子供を殴るようなものがなかった。母は子供に、外に出て棒を見つけてこいと命令した。しばらくの後、子供が泣きながら帰ってきた。「棒は見当たりません。だからお母さんが投げることができるように小石を持って来ました」。子供の手には小石が握られていた。それを見て母親は子供の心を読んだ。子供はお母さんが棒で自分を殴るつもりなら、石でもそれができると考えたらしい。どれほど怖かったのだろうか。お母さんは胸が痛くて、子供を抱きしめて泣いた。それから、その母親は台所の棚に石を置いて教訓とした。

私たちに、「長くつ下のピッピ」という童話でよく知られているスウェーデンの童話作家アストリッド・リンドグレーン。彼女が1978年にフランクフルトで、ドイツ書籍協会が与える平和賞を受賞した際に聞かせてくれた話だ。リンドグレーンは真の平和は世界のどこにも見つけることができないと主張し、人間を暴力に導くものが何なのかを省察する時が来たと主張した。それとともに、子供たちに暴力を行使しないことから、平和を実践しようとした。

彼女の言葉に感動したのか、スウェーデンはその翌年の1979年に体罰を法律で禁止した。世界初のことだった。誰もがそのようにしたのではなかった。リンドグレーンに平和賞を与えたドイツは、2000年の終わりになって、ようやく体罰を禁止した。

体罰をなくすからとって、世界の暴力がすべてなくなるわけではないだろうが、子供に接する姿勢から非暴力が始まるという彼女の言葉は、依然大きな響きを与える。「キッチンの棚に小石一つを置いて、決して暴力はいけないということを、私たち自身と子供たちに換気させればいいと思います」。彼女はこう提案しながら、自分のスピーチを終えた。美しい提案だった。