「コートに立っていることだけでも楽しいです」
今季の鄭現(チョン・ヒョン=23、韓国体育大学、170位)にとって「健康な体でラケットを握ること」には特別な意味がある。今年2月、オランダのロッテルダムで開かれたABNアムロ・ワールド・テニス・トーナメント以降腰の負傷で5ヵ月間コートを離れていた。四大大会のうち全仏オープンとウィンブルドンの2大会を欠場した。昨年の全豪オープン準決勝で足にできた水だこで、肉が剥かれる状況でも「ファンを失望させるわけにはいかない」として、「皇帝」ロジャー・フェデラー(38=スイス、3位)に立ち向かった。その鄭現が、痛みを耐え切れずコートに立てなかったというのだから、負傷の程度が推測できる。
鄭現は28日、米国ニューヨークで開かれた今季最後の主要4大大会である全米オープンの男子シングルス1回戦で、アーネスト・エスカベイド(23=米国、206位)に3-2(3-6、6-4、6-7<5-7>、6-4、6-2)で逆転勝利を収めた。あれほど切望していたコートを3時間36分間走り回った鄭現は、フルセットまでもつれる大接戦の末、逆転ドラマを演じながら3年連続の全米オープン2回戦進出に成功した。鄭現は、「空白期をうまく耐えることができたと思う。一緒にツアーを回った選手たちのプレーを見ながら、自分も早くコートに戻りたいと思った。シーズンが残り少ないけど、ケガしないで締めくくりたい」と話した。
試合内容も良かった。この日、鄭現は17本のエースを記録した。これまで弱点と言われたサーブが改善されたという評価を受けた。攻撃の成功回数も64対46と大きく上回った。とくにネットプレーの成功率が84%(21/25)と高かった。会場で試合を見守ったパク・ヨングクNH農協銀行スポーツ団長は、「今日の鄭現は体調が悪くない様子だった。一番良かった時の70%までは上がってきたようだ。自分のサービスゲームの時、攻撃的なサーブで容易に試合の流れを掴むことができた。ただ、サーブを打つ時、まだ以前のような爆発的なパワーは出せていない。そこは、コーチ陣とともにサーブのメカニズムを分析して補う必要がある」と話した。
鄭現は、29日の2回戦で36歳のベテラン、フェルナンド・ベルダスコ(スペイン=34位)と対戦する。2009年に世界ランキング7位まで上がった選手だ。鄭現は、ベルダスコとは2015年の全米男子クレーコート選手権の2回戦で対戦し0-2で敗れた。ツアー大会シングルスで7回優勝したベルダスコはハードコートで2回、クレーコートで5回優勝し、クレーコートに強い。鄭現は、「ベルダスコは優れた技量の選手だ。チャレンジャーの立場なので、学ぶ姿勢で臨んで良い結果を出したい」と意気込みを語った。
チョ・ウンヒョン記者 yesbro@donga.com