トランプ米大統領が10日(現地時間)、ボルトン大統領補佐官(安全保障担当)をツイッターで更迭した。対北朝鮮超強硬派でネオコンの核心だったボルトン氏が、トランプ氏との相次ぐ衝突の末、解任され、今後、北朝鮮核問題をめぐる協議をはじめ米国の外交安保政策に及ぼす影響に関心が集まっている。
● 「戦争狂」の烙印を押されたボルトン氏の退場
トランプ氏は同日、ツイッターに、「昨晩、ボルトン氏に、ホワイトハウスにもはや必要ではないと伝えた。私は彼の(政策)提案に同意しなかった。政権の他の人々も同じだ」と強い不満を示した。さらに、「ボルトン氏に辞任を求め、(辞職届を)今朝受け取った」とし、「来週新しい補佐官を指名する」と明らかにした。
ボルトン氏も自身のツイッターを通じて解任の事実を確認したが、「私は昨晩、大統領に辞任の意思を明らかにし、トランプ大統領は『明日話そう』と述べた」と反論した。ホワイトハウスの核心参謀も状況を知らない様子だったと、米紙ワシントン・ポストとニューヨーク・タイムズは伝えた。
突然の発表ではあったが、ボルトン氏の更迭説は以前からホワイトハウス内外で流れていた。ボルトン氏は、北朝鮮やイラン、ベネズエラ、ロシア、アフガニスタンなどの外交安保政策をめぐって強硬論を固守し、トランプ氏と衝突してきた。トランプ氏は、「ボルトン氏に状況を任せたなら、私たちは今4つの戦争をしているだろう」とボルトン氏の好戦性に不満を示し、私的な席でボルトン氏を「戦争狂(warmonger)」と表現した。決定的な契機は、最近のアフガン和平協議をめぐる不協和音だった。タリバン指導部との協議を望み、別荘の「キャンプデービッド」での秘密会合まで推進したトランプ氏は、ボルトン氏がこれに反対したという内容がメディアに伝えられ、憤ったという。トランプ氏は8日、タリバンとの協議中止を宣言したが、直後にボルトン氏を解任することで責任を問うたのだ。
ボルトン氏は、ポンペオ長官とも関係が悪かったという。ポンペオ氏は同日、ホワイトハウスでテロ政策関連記者会見を終えた後、記者団に質問を受け、「(更迭の知らせに)全く驚かなかった。大統領は信頼する人々と仕事をする権利がある」と述べた。
●米朝協議、柔軟性が発揮されるか
ボルトン氏が更迭され、米国が今後、米朝協議で柔軟性を発揮する余地が生まれたという分析が出ている。峨山(アサン)政策研究院安保統一センターのシン・ボムチョル・センター長は、「北朝鮮式『新しい計算法』を受け入れることを最も強く反対する人がホワイトハウスから消えた」とし、「勝負所は(北朝鮮が事実上、協議デッドラインに設定した)12月末になる可能性がある」と指摘した。
政府内でも、米朝実務協議に肯定的な影響を及ぼすという評価が出ている。北朝鮮の崔善姫(チェ・ソンヒ)外務次官が9日、談話を出して米朝対話再開を提案した中、「リビア式モデル」をかかげて、先に核放棄を要求してきたボルトン氏が交代になり、米朝実務協議が再開される可能性が高まったということだ。大統領府は同日、「韓国政府が話す事案ではない」とし、公式の立場は出さなかった。しかし、9月末の国連総会、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の訪中の可能性がある10月の中朝国交樹立記念日、11月の東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議など、大型の外交日程を控えた中、大統領府内部では北朝鮮が苦手とするボルトン氏の交代は米朝対話に役立つという期待が生まれている。前任の大統領補佐官、ハーバート・マクマスター氏の時に比べて、弛緩した韓米国家安全保障会議(NSC)ラインの意思疎通が強化される契機になるという見方もある。
民主平和統一諮問会議の丁世鉉(チョン・セヒョン)首席副議長は同日、ラジオ番組に出演し、「北朝鮮に良いメッセージだ。米国が主張した『ビッグディール』が「先に核廃棄、後に補償」の順序だったが、(ボルトン氏の更迭は)その方式ではしないというメッセージが含まれていると見る」と指摘した。
ワシントン=イ・ジョンウン特派員 ムン・ビョンギ記者 lightee@donga.com · weappon@donga.com