第2、第3の大統領記録館
Posted September. 16, 2019 08:40,
Updated September. 16, 2019 08:40
第2、第3の大統領記録館.
September. 16, 2019 08:40.
by コ・ギジョン記者 koh@donga.com.
先月27日、洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相は、来年の予算案のブリーフィングで、「下方」を8回、「困難」を10回言及した。景気が急激に落ち込む下方リスクが大きくなっており、国民生活の厳しさが増しているという診断だった。このため、来年に513兆ウォンという超スーパー予算編成は避けられないと主張した。このため、赤字国債60兆ウォン分を発行することにした。今年のソウル市の予算35兆ウォンの2倍に近いお金だ。企画財政部は、国家財政の門番だ。通貨危機後20年間「健全財政」「均衡財政」をずっと口にしてきた。今回、自らその原則を廃棄しようとしたので、なかなか言葉を出なかったのだろう。副首相の発言からも、そんな複雑な気持ちとや不快感が読み取れた。もっとも最近では、現世代の財政健全性維持が次の世代に何の意味があるのかという反論が力を得ている。大規模なインフラ投資をする際に、必ず経るようにした予備妥当性調査は、この政府に入ってすでに形骸化している。執権勢力の認識も、均衡財政を教科書的強迫観念と受け止める方に近いという点で、副首相が空気をよく読んでいるようでもある。民間の活力がほぼ底をついているだけに、財政の積極的な役割が必要なのは事実だ。問題は、そのお金をどこに、どのように使うのかということだ。先週大統領府は、行政安全部(行安部)傘下の国家記録院が推進した文在寅(ムン・ジェイン)大統領の個別記録館の設立は、大統領の意思とは無関係な事案だと明らかにした。個別記録館には、敷地購入費32億ウォンを含めて計172億ウォンの税金が投入される予定だった。大統領府は、文大統領が関連報告を受けて激怒したと、早期に一線を画す雰囲気だが、この件は、行安部が大統領府の実務秘書陣と協議して、閣僚会議の議決まで経た。予算豊作に乗じて、大統領の気持ちを察しようとして未遂に終わった状況がうかがえる。財政はうまく使えば薬だが、間違って使えば、長期的に毒となる。政府部門が国内総生産で占める割合は、通常20%に満たない。政府発景気刺激策の成長牽引効果は限られたものにならざるを得ない。このため、刺激策を中止すれば、景気が再び萎縮するダブルディップが発生したりする。これを防ぐために、再び税金をつぎ込む悪循環が繰り返され、財政赤字が慢性化される。国民のアカウントだけを見ると、財政拡大は民間部門の資源を政府が吸い込んで放出する構造なので、市場機能が萎縮し、中長期的には、未来世代の増税や通貨発行を通じて、政府負債を補填しなければならない。当面は大丈夫でも、政府支出拡大の余力は減るしかない。閉鎖経済ほど、財政政策の効果が大きくなるため、保護貿易主義の性向が強化されかねない。この中でも最悪は、政略的財政投入だ。日本は1990年代のバブル崩壊後、空港建設などに1000兆ウォン以上を注ぎ込む公共投資の拡大に乗り出した。経済が供給過剰の状態なのに、構造調整のない短期刺激策に集中して財政拡大に乗り出し、この過程で、票を意識した各政治勢力と政府の結託があった。日本の失われた20年は、経済への誤診の結果でもあるが、政治的失敗のためでもある。最近、各省庁が突然増えた来年の予算をを巡って、幸せな悩みをしているという。ひょっとすれば、という気持ちで、「0」をさらに一つつけて請求したのに、これまで見たこともない規模の予算が配分されたという話も聞こえる。このような時こそ、官僚たちが自ら選挙用事業を進上したり、総選挙を控えた政界が、予算を確保するために睨めっこする「ポークバレル(優先開発支援資金)」現象が起る。国民が目を見開いて監視しなければ、私たちも知らない新しい第2、第3の大統領記録館が生まれる。
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先月27日、洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相は、来年の予算案のブリーフィングで、「下方」を8回、「困難」を10回言及した。景気が急激に落ち込む下方リスクが大きくなっており、国民生活の厳しさが増しているという診断だった。このため、来年に513兆ウォンという超スーパー予算編成は避けられないと主張した。このため、赤字国債60兆ウォン分を発行することにした。今年のソウル市の予算35兆ウォンの2倍に近いお金だ。
企画財政部は、国家財政の門番だ。通貨危機後20年間「健全財政」「均衡財政」をずっと口にしてきた。今回、自らその原則を廃棄しようとしたので、なかなか言葉を出なかったのだろう。副首相の発言からも、そんな複雑な気持ちとや不快感が読み取れた。もっとも最近では、現世代の財政健全性維持が次の世代に何の意味があるのかという反論が力を得ている。大規模なインフラ投資をする際に、必ず経るようにした予備妥当性調査は、この政府に入ってすでに形骸化している。執権勢力の認識も、均衡財政を教科書的強迫観念と受け止める方に近いという点で、副首相が空気をよく読んでいるようでもある。
民間の活力がほぼ底をついているだけに、財政の積極的な役割が必要なのは事実だ。問題は、そのお金をどこに、どのように使うのかということだ。先週大統領府は、行政安全部(行安部)傘下の国家記録院が推進した文在寅(ムン・ジェイン)大統領の個別記録館の設立は、大統領の意思とは無関係な事案だと明らかにした。個別記録館には、敷地購入費32億ウォンを含めて計172億ウォンの税金が投入される予定だった。大統領府は、文大統領が関連報告を受けて激怒したと、早期に一線を画す雰囲気だが、この件は、行安部が大統領府の実務秘書陣と協議して、閣僚会議の議決まで経た。予算豊作に乗じて、大統領の気持ちを察しようとして未遂に終わった状況がうかがえる。
財政はうまく使えば薬だが、間違って使えば、長期的に毒となる。政府部門が国内総生産で占める割合は、通常20%に満たない。政府発景気刺激策の成長牽引効果は限られたものにならざるを得ない。このため、刺激策を中止すれば、景気が再び萎縮するダブルディップが発生したりする。これを防ぐために、再び税金をつぎ込む悪循環が繰り返され、財政赤字が慢性化される。国民のアカウントだけを見ると、財政拡大は民間部門の資源を政府が吸い込んで放出する構造なので、市場機能が萎縮し、中長期的には、未来世代の増税や通貨発行を通じて、政府負債を補填しなければならない。当面は大丈夫でも、政府支出拡大の余力は減るしかない。閉鎖経済ほど、財政政策の効果が大きくなるため、保護貿易主義の性向が強化されかねない。
この中でも最悪は、政略的財政投入だ。日本は1990年代のバブル崩壊後、空港建設などに1000兆ウォン以上を注ぎ込む公共投資の拡大に乗り出した。経済が供給過剰の状態なのに、構造調整のない短期刺激策に集中して財政拡大に乗り出し、この過程で、票を意識した各政治勢力と政府の結託があった。日本の失われた20年は、経済への誤診の結果でもあるが、政治的失敗のためでもある。
最近、各省庁が突然増えた来年の予算をを巡って、幸せな悩みをしているという。ひょっとすれば、という気持ちで、「0」をさらに一つつけて請求したのに、これまで見たこともない規模の予算が配分されたという話も聞こえる。このような時こそ、官僚たちが自ら選挙用事業を進上したり、総選挙を控えた政界が、予算を確保するために睨めっこする「ポークバレル(優先開発支援資金)」現象が起る。国民が目を見開いて監視しなければ、私たちも知らない新しい第2、第3の大統領記録館が生まれる。
コ・ギジョン記者 koh@donga.com
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