北朝鮮の金英哲(キム・ヨンチョル)朝鮮労働党副委員長兼朝鮮アジア太平洋平和委員会委員長が27日、「米国が以前にも増して悪辣な方法により(北朝鮮を)孤立させ、圧殺しようとしている」とし、「今すぐにも火と火が行き交いかねない」と述べた。北朝鮮が、2月のハノイでの米朝首脳会談決裂後、非核化協議の舞台から姿を消した金英哲氏を再び登場させ、「新たな計算法」を出して北朝鮮に圧力をかけたのだ。一部では、大陸間弾道ミサイル(ICBM)や潜水艦弾道ミサイル(SLBM)など北朝鮮が年末に追加挑発に出るという観測も流れている。
金英哲氏は同日、アジア太平洋平和委員会委員長の肩書で談話を発表し、「米国が首脳間の個人的な親交関係に乗じて時間稼ぎをし、年末を無難に越そうとするのは愚かな妄想だ」と述べたと、朝鮮中央通信が伝えた。金英哲氏が統一戦線部長から退いた後も、アジア太平洋平和委員会委員長の肩書を維持していることが確認されたのは初めて。金英哲氏はさらに、「何事にも限界がある」とし、「朝米首脳間の親交関係は決して民心を無視できず、朝米関係の悪化を防いだり補償するための担保ではない」と強調した。
北朝鮮は16日、金正恩(キム・ジョンウン)党委員長の白頭山(ペクトゥサン)白馬登頂報道で雄大な作戦を予告した後、10日間で、△金剛山(クムガンサン)韓国側施設の撤去(23日)、 △金桂寛(キム・ゲグァン)外務省顧問の談話(24日)、△金剛山撤去通知文(25日)に続き、金英哲氏の談話まで出した。
これに対して大統領府関係者は27日、「北朝鮮が非難を強めたものの、対話の意向を明らかにしたという点は肯定的に見ることができる」と評価した。尹徳敏(ユン・ドクミン)前国立外交院長は、「北朝鮮は思いどおりにならない場合、衛星発射と主張してICBM挑発に出る可能性がある」と指摘した。
黃仁贊 hic@donga.com · 申나리 journari@donga.com