「韓国は最高の人材(Super Advanced Person)を保有している。このような韓国をどうして選択しないだろうか?」
米航空機メーカーで・ボーイングが、飛行機製作技術を研究するボーイング韓国技術研究所(BKETC)の開所式を行った1日。ボーイングコリアのエリック・ジョン社長は、「なぜ韓国に研究開発(R&D)センターを開設したのか」という質問にこのように答えた。
ボーイング韓国技術研究所の中ではボーイングの12番目のグローバル研究所であり、ボーイングが直接設立した研究所ではアジアでは2番目だ。未来の航空市場をリードする自律飛行、人工知能(AI)、未来型客室など、次世代航空技術の開発を担当する重要なところだ。ボーイングは2015年、慶尚北道永川市(キョンサンブクド・ヨンチョンシ)にあった航空機メンテナンス整備センターを今年初め撤退した。しかし、R&Dにはかえって投資を増やしている。
ジョン社長は、「具体的な技術は明らかにできないが、韓国の人材が短期間に航空電子とAIの分野で成果を上げたことで、本社のほうで非常に驚いた。ボーイングでインターンをする韓国人は、そのほとんどが従業員として採用されている」と述べた。
最近、グローバル企業は、韓国で強硬な労組や高賃金などの影響で生産設備を撤退したり、物量を減らしているが、R&D投資はかえって増やしている。世界的なレベルの国内大手企業との協力も魅力的だが、韓国人の技術や業務に対する姿勢を大きな利点と見ている。
韓国国内の高級R&D人材を活用しようとするグローバル企業の動きは、外国人直接投資の推移においても表れている。産業通商資源部によると、今年上半期(1〜6月)の外国人直接投資額のうち、最先端技術や新事業への投資額は、2015年の約2300億ウォンから今年は約4400億ウォンに伸びた。代表的な高付加価値産業である製薬分野で昨年、韓国に進出したグローバル製薬会社のR&D規模は約4700億ウォンで、2017年(約4000億ウォン)より約16%が伸びた。
昨年全羅北道群山(チョンラブクド・クンサン)工場を閉鎖した韓国GMも、今年初め、仁川(インチョン)にGMテクニカルセンターコリア(GMTCK)を設立した。GMTCKには約3300人のエンジニアが勤務していて、米GMの新車やエンジン、トランスミッション技術、電気自動車などのコア技術を開発している。ベンツとBMWなどのグローバル自動車メーカーも、韓国でR&Dセンターを運営している。
カハー・カゼムGMコリア社長は、韓国に残留する理由について、「優れた技術を持つパートナーだけでなく、優れた技術を持つ人材のためだ」と語ったことがある。韓国GMの関係者も、「外国人の役員は会食をしたり、残業をしてもその翌日に定時に出勤し、プレッシャーをかければ成果を出す韓国人に非常に驚いている」と伝えた。
国内産業界では、韓国が製造国を越えて付加価値の高い技術開発とデザインの方に産業構造が変わるのは、自然な流れだと見ている。趙東根(チョ・ドングン)明知(ミョンジ)大学経済学科名誉教授は、「賃金上昇などの影響で製造業中心の産業が限界に達すると、高付加価値産業に移動した米国と欧州のようなパターンで新たなバリューチェーンが韓国にできているのだ」と分析した。
しかし、一定レベルの製造業を維持しなければならないという見方も少なくない。雇用のためだ。実際2008年のグローバル金融危機以降、安定した雇用を提供する製造業の強みが浮き彫りになり、各国は製造業のUターン政策に積極的に乗り出している。
情報技術(IT)業界の関係者は、「ドイツはモノのインターネットを通じて全体の生産プロセスを最適化するという『インダストリー4.0』政策で製造業の競争力を維持している」とし、「優秀な韓国人材が製造業の復活のために役割を果たすことについて考えなければならない」と語った。
ピョン・ジョングク記者 bjk@donga.com