今月初め、米大統領選挙への不出馬宣言を覆し、大統領選の民主党候補指名争いに飛び込む準備を終えたブルームバーグ前ニューヨーク市長(77)が17日、市長在職中に人種差別論議を呼んだ「ストップ・アンド・フリスク(呼び止めて所持品検査をすること)」政策を謝罪した。
米紙ニューヨーク・タイムズなどによると、ブルームバーグ氏は同日、ニューヨーク・ブルックリンの黒人教会「クリスチャン文化センター」で、「歴史を変えることはできないが、私が間違っていた。皆さんに分かってもらいたい」と頭を下げた。そして、「ストップ・アンド・フリスクの主な対象は黒人とラテン系だった。皆さんの一部が含まれる可能性があったことを申し訳なく思う」と繰り返し謝罪した。
2002年1月から13年12月まで3期にわたってニューヨーク市長に在職したブルームバーグ氏は、警官が路上で任意に市民の所持品を検査できるよう身体検査強化政策を施行し、有色人種の激しい反発を受けた。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、この期間にニューヨーク警察が数百万件の検査を行ったと伝えた。ブルームバーグ氏の後任のビル・デブラシオ現市長は14年の就任後、これを廃止した。
今回の演説は、ブルームバーグ氏が民主党予備選に合流するという展望が出た後に行われた初の演説だ。ブルームバーグ氏は最近、南部アラバマ州とアーカンソー州に民主党予備選の候補に登録したが、まだ公式には出馬を宣言していなかった。このため、突然の謝罪は、有色人種有権者の影響が大きく作用する民主党予備選で支持を得るための布石ではないかと見られている。市長在任中だけでなく退任後も「生命を守る効果的手段」として政策を正当化したブルームバーグ氏の過去の態度とは対照的だからだ。
ニューヨーク・タイムズは、「市長在職時にはストップ・アンド・フリスク政策が支持率に貢献したかも知れないが、来年の大統領選では弱点になり得る」とし、「自分の考えを曲げないブルームバーグ氏の驚くべき譲歩」と指摘した。米紙ワシントン・ポストやアクシオスなども、「ブルームバーグ氏が民主党予備選に合流するという最も明白な信号」と診断した。
別の民主党大統領候補も、出馬宣言の前後で政治的に問題になり得る「過去」を消すために動いている。ウォーレン上院議員(マサチューセッツ州)は、8月に自身が原住民の子孫であることを証明するために昨年DNA検査の結果を公開し、予備選に「原住民の血筋」を利用したという論議が起きるとすぐに謝罪した。バイデン元副大統領も今年初め、女性に対する不適切な身体接触や1970年代の米国の人種隔離主義の上院議員を称賛した過去を謝罪した。
このような過去の洗濯が実際の投票者の心にどれほど影響を及ぼすかは分からないと指摘されている。ブルームバーグ氏の謝罪電話を受けた黒人運動指導者のアル・シャープトン牧師はニューヨークタイムズに、「一度の謝罪で許して忘れてくれるなどと期待しないでほしいと言った」と話した。
朴湧 parky@donga.com