「近所の人と一緒に歌ったり集うことができて、とても嬉しいです」
釜山市東莱区(プサンシ・トンネグ)チュンヨル大路(楽民洞)の「1979エノキハウス」に集まった住民たちが「ありがとう」に添えて言った言葉だ。一人世代と高齢人口の多い住宅街に建ったエノキハウスは、地域の一致と共感の場所として位置づけられる。
昨年8月、東莱区は数年来放置されていた古いビルを購入した。2億8000万強の事業費をかけて1階は共用のキッチンとブックカフェとして、2階は美術、木工芸、園芸など創作の場として、屋上は映画上映とベンチなど公演と展示空間に仕立てた。
屋上では四半期毎に1回以上、星空シアターが開催される。共用キッチンではお料理を囲んた共同体の集まりが頻繁に開かれる。2階では13種類の住民参加プログラムが行われる。住民たちの自治協議会に申し込めば会場を貸し切ることもできる。エノキハウスは電車とバス停が近い上、展示空間は常時開放しているので、今年5月オープン以来、現在まで5000人の来客があった。
1970、80年代、全羅北道全州市(チョルラブクド・チョンジュシ)の産業の中心地であった八福洞。産業と時代の変化をそのまま残す場所だ。一つ二つ潰れていった工場には時間の流れとともに埃だけが積もり、住居地としての環境も日に日に悪くなっていった。しかし、全盛期ほどではないものの八福洞には依然、産業人材の多くが勤務しており、住民も暮らしている。全州市は2015年、実験に乗り出した。産業団地にふさわしくない複合アートスペースを作ることにした。
全州市は店をたたんで23年になるカセットテープ工場を買い取った。住民とアーティスト、企業人を中心に廃工場を生まれ変わらせる方策を考えた。廃工場に命を吹き込む作業は2年以上も続けられる。
2018年、廃工場はアーティストのための創作空間と展示場、カフェ、本屋を揃えた「八福アート工場」として生まれ変わった。殺伐とした雰囲気を一新したアート工場は、住民たちに新たな雇用と住居環境を提供し、伝統家屋で有名な全州の観光地を産業団地にまで広げるきっかけになった。
全羅北道茂朱郡(チョルラブクト・ムジュグン)は自然環境に恵まれたクリーンエリアだ。澄み切った水と空気はとても綺麗だ。しかし、住民の生活に必要な便宜施設はあまりない。2000年初期まで都会にはどこにでもあるような銭湯が街まで行かないとなかった。
茂朱郡内の5つの村の住民たちは銭湯のためバスに乗って20〜30分距離の街に出るしかなかった。それも週に1回、あるいは月に1、2回程度だった。茂朱郡は、日常的な生活の質を高めようと銭湯に焦点を当てた。
住民の往来が多い昔の村役場(現在の行政福祉センター)に「小さな銭湯」を開いた。男湯、女湯を作ることなく、曜日毎に男女が分けて使う。料金は、大人は2、000ウォン、65歳〜70歳は1、500ウォン、70歳以上と未就学児童、生活保護対象者、障害のある者は無料だ。
全州=パク・ヨンミン記者 釜山=チョ・ヨンフィ記者 minpress@donga.com · silent@donga.com