韓国電力は、2020年から約11兆ウォンを投資、全羅南道新安郡(チョルラナムド・シンアングン)に国内最大規模の洋上風力発電団地の造成に乗り出す。全羅南道モデルとして雇用創出型事業の洋上風力発電団地を造成し、再生可能エネルギーの割合を高める狙いだが、赤字続きにより電気料金の値上げを迫られる韓国電力が莫大な投資をすることに議論が予想される。
産業通商資源部と韓国電力、全羅南道は20日、ソウル・ロッテホテルで新安地域の大規模洋上風力事業開発に関する事業協定締結式を行い、新安郡荏子島(イムジャド)20~30㎞洋上に2029年まで3段階に渡り、合計8.2ギガワット(GW)規模の洋上風力団地を形成すると明らかにした。総事業費48兆500億ウォンの規模だ。
韓国電力は、1段階の3GW規模の事業に参加し、洋上風力発電団地と送変電設備を建設する。第1段階事業費に当たる20兆ウォンの中、11兆ウォンは韓国電力から支出。全羅南道と韓国電力は、賛同する民間事業者と年内にコンソーシアムを形成、来年の現場検証を経て2023年には着工の予定だ。
新安洋上風力団地事業は全羅南道のキム・ヨンロク知事が掲げた重点事業だ。全羅南道は8月、労・使・民・自治体の連携による大規模洋上風力発電団地を造成し、11万人の雇用創出という全南発信の雇用創出モデルを発表した。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は7月、地域経済ツアーの一環として新安風力団地を含む全羅南道の「ブルー・エコノミー」ビジョン宣言式にも出席した。
しかし、事業費に負担を感じる民間事業者は新安洋上風力団地事業に参入を渋り、事業は遅々として進まなかった。これに韓国電力が救援投手を買って出た。送変電施設など基本インフラを韓国電力が投資、これを利用する民間事業者が事業費の一部を韓国電力に補填する形だ。
政府関係者は「韓国電力が事業の間口を広げてくれたら民間事業者の初期事業負担金がかなり減るため事業は急ピッチで進む」と語った。
一方で、最近経営悪化で苦しむ韓国電力が全羅南道の重点事業のため11兆ウォンを投資すれば費用負担は加速化するという見方もある。韓国電力は今年上半期(1~6月)9000億ウォンを超える営業損失で、上半期基準7年ぶりの最大赤字を出した。7~9月期には黒字に転じたものの営業利益の幅は2011年以降、最も低いなど収益改善が急がれる。
これについて韓国電力関係者は「全体事業費の8割をプロジェクト・ファイナンシングで調達し、残りの2割は特別目的会社(SPC)が負担する形で進める」とし、「SPCの中、韓国電力の持分は3割ほどで実質投資負担は7000億ウォンくらいに予想」と語った。
産業部関係者は「韓国電力は、事業性を検討した後、収益を見込んだ上で投資を決定した」と語った。
宋忠炫 balgun@donga.com