北朝鮮が「クリスマスプレゼント(挑発)」を予告したDデイ(25日)が過ぎたが、米国は北朝鮮に対する監視を緩めていない。まるで韓半島一帯に絨毯爆撃をするかのように偵察兵器を投入している。
25日に地上監視偵察機「ジョイントスターズ」(E8C)など5機の主力偵察機を一度に投入したのに続き、26日にも3機の偵察機を韓半島に送り、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の挑発の兆候を監視した。
民間の航空追跡サイト「エアクラフト・スポット」によると、26日早朝から午後まで、ジョイントスターズをはじめ、ミサイル監視偵察機「コブラボール」(RC135S)2機が沖縄の嘉手納基地などを離陸し、次々に韓半島に飛んで来た。特に、ミサイル・弾頭軌道追跡が可能なコブラボールは、東海(トンヘ・日本海)上に投入された。軍当局者は、「江原道元山(カンウォンド・ウォンサンと咸鏡南道新浦(ハムギョンナムド・シンポ)の潜水艦・SLBM基地の動きをほぼ24時間監視した」と話した。北朝鮮がICBM挑発は「最後のカード」として取って置き、SLBMを発射する可能性があると見ているのだ。
北朝鮮がクリスマスプレゼントを予告した後、米国が投入した偵察兵器の規模は前例がないというのが、軍内外の大方の評価だ。北朝鮮のリ・テソン外務次官(米国担当)が3日、談話を通じて、年末を交渉期限に設定し、「クリスマスのプレゼントに何を選ぶかは、全面的に米国の決心にかかっている」との談話を発表して以降、これまで米国は7種類、少なくとも22機以上の偵察機を韓半島に投入した。
北朝鮮が挑発を予告した当日、ジョイントスターズと2機しかない電子偵察機「コンバット・セント」(RC135U)を皮切りに、「リベットジョイント」(RC135W)、「コブラボール」、高高度無人偵察機「グローバルホーク」(RQ4)、信号情報偵察機(EP3)、対潜哨戒機(P3C)などがほぼ毎日、北朝鮮に対する監視のために韓半島に飛んで来た。このうち、在日米軍に2機しか配備されていないコブラボールとジョイントスターズは、「1日2交代」で事実上、北朝鮮に対する監視に「オールイン」した。グローバルホークとリベットジョイントなども短くて1日、長くて2、3日の間隔でソウルをはじめ首都圏上空に出現している。
軍関係者は、「北東アジアに配備した偵察機戦力の大半を北朝鮮の監視に投じたことになる」と話した。22機は、エアクラフト・スポットなどを通じて、米軍が故意に北朝鮮への圧力メッセージを伝えるために露出させた数字であるため、非公開の偵察活動まで含めればこれより多いと推定される。
北朝鮮のクリスマス挑発を抑制するために投入されたこれらの偵察兵器の展開費用も莫大であると推定される。単純展開費用(燃料費など)だけを考えるか、全般的な運営維持費(地上係留費用、人件費など)まで含むかによって、一度の出動に数億から数十億ウォンかかるとみえる。
在韓米軍の核心監視兵器であるU2偵察機の場合、一度の飛行に100万ドル(約11億ウォン)かかるという。在日米軍基地から展開すれば、追加費用が必要になるほかない。軍消息筋は、「北朝鮮のクリスマスプレゼント警告後、現在までに韓半島に投入された米偵察機の稼動費用は数百億ウォンを上回ると推定される」と強調した。
米国は、年末年始にかけて偵察機戦力を「フル稼働」し、対北朝鮮監視に総力をあげるとみえる。これと関連して一部では、年末年始の後も、北朝鮮の挑発の兆候が落ち着く場合、トランプ大統領が偵察機の監視費用を在韓米軍駐留経費の負担金に含め、韓国に要求するという観測も流れている。韓国軍が保有できない高価な米偵察戦力を投入し、北朝鮮の挑発を阻止したと主張して、来年に持ち越した米国と韓国の駐留経費負担に関する特別協定(SMA)交渉で、偵察費用を支払うよう攻勢をかけてくる可能性があるということだ。政府関係者は、「韓国が偵察費用の負担に難色を示す場合、米国は平時の偵察機の展開回数を大幅に減らしたり、偵察兵器を(韓国が)導入するよう要求する可能性もある」と指摘した。
尹相虎 ysh1005@donga.com