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ゴルディアスの結び目

Posted January. 02, 2020 08:19,   

Updated January. 02, 2020 08:20

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人よりも大きな黒いネズミらが円を描いて、ぐるりと取り囲んでいる。外側に向かって立ち上がったまま、前足を持ち上げている。前に進もうとするが、尻尾が一つに縛られているので身動きできない。ドイツ彫刻家カタリーナ・フリッチュの「ネズミの王」は、強烈なイメージと圧倒的なスケールで、1999年、ベニス・ビエンナーレで大きな注目を浴びた。作家はなぜネズミを作品のテーマにしたのだろうか?

フリッチュは、ねずみだけでなく、ヘビ、鶏、象、法王など、誰もが知る形の上に、黒や強烈な原色で塗った彫刻で有名である。伝説や童話から作品のインスピレーションを得る彼は、この作品も子供の頃聞いたネズミの王のイメージを形象化した。ネズミは、仏教文化圏では勤勉と知恵、豊かさの象徴だが、欧米では長い間、ペストに関連付けられた悪い兆候として認識されてきた。「ネズミの王」を意味するドイツ語「RattenKönig」は、尾が互いに縛られているネズミの群れをいう。一連の不快なもの、いくつかの事件のもつれなどを比喩するときに使う言葉だ。作家は、このネズミたちは自分の自画像であり、「ゴルディアスの結び目のように、あまりにもねじれているので、到底抜け出せない状況」を表現したと言う。ギリシャ神話に出てくるゴルディアスは、自分の車を神殿の柱に複雑な結び目で縛っていた王である。神託では、この結び目を解いた者がアジアの王になるとしており、多くの人が挑戦したが、すべて失敗した。最終的にこの結び目を解いた人こそ、あのアレキサンダー大王である。アレクサンダーは実は結び目を解いたのではなく、一刀で切り捨てた。ここから由来したゴルディアスの結び目は、複雑に見える問題を発想の転換で簡単に解決することを比喩する言葉になった。

作家のメッセージは明確である。このネズミたちは、長い間一緒にいて尾が互いに癒着した運命共同体だ。このままでは全滅するのは明らかだ。生きるためには、決断を下さなければならない。仕事であれ、関係であれ複雑で困難な状況は誰にでも起きるものだ。解決策は意外に簡単かもしれない。